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ボヘミアンラプソディの映画
ブームの時は全く興味なかった。
音楽好きの友人から「映画見た?あれむっちゃ良かったで」と同じく音楽好きの私に言ってくれた。そのとき私は「クイーンの音楽って暑苦しくて、重苦しくて、あんまり好きじゃないから、その映画知らない」と答えた。
あの口ひげとモジモジくんみたいなあの衣装に嫌悪感と拒否反応があった。
その何年かあと、近くで上映会があることを知る。正規料金じゃなくて格安で見られたらと、お得感につられ、小学校低学年の娘と一緒に見に行った。
私は映画にとても引き込まれたが、娘の方は字幕を読むのに疲れているのか、ストーリーが難しいのか、退屈そうに見えた。
フレディ・マーキュリーの苦悩を映画を通じて、初めて知った私はいろんな感情を揺さぶられた。
性という自分では何ともコントロールしがたい衝動の奥にある孤独と苦悩。彼だけでなく、全ての人が抱えていてなかなかあからさまにし難い。その相手が異性であろうと、同性であろうと。その気持ちを一体誰が論評したり、正論で攻撃したり出来るんだろう?と私は初めてそう思えた。
ストーリーを追うのに精一杯で、一つ一つの楽曲を私の脳内で処理できるまでには至らなかった。
家に帰ってしばらくして、一緒に映画を見た娘が「ママー、ウー…」と歌い出した。
私「え?何その曲?」、娘「映画で見た曲」
娘が歌う「ママー…」という歌詞と切ないメロディに、胸がキューンとなり、私はなんとしてもその曲を弾かなければいけない!と強く強く思った。急いで本屋へ走り、ピース版を買って急いでピアノに向かって弾いてみた。何か違う。これじゃない。インターネットで検索し、ありとあらゆるものを比較して一冊買ったがこれも違う。メルカリで見つけて、これで最後と思って買った一冊。それを弾いたとき、「これだ!!」と思った。
やっと納得できるアレンジで練習に励み、楽譜を見ながら、それなりに弾けるようになった。娘が私のピアノに合わせて一緒に歌う。「ママー…」と歌う度に嬉しかった。胸の奥がキューンとなった。
しかし、譜めくり時にメロディの流れが途絶えてしまう。
「娘が気持ちよく歌うために、譜めくりなしで弾くためにはなんとしても暗譜しなければ!!!」
暗譜なんて、もう遙か遙か昔したきり。のびきった脳みそにむち打った。メインの部分だけ、とにかく暗譜できた。嬉しかった。
そして私は娘とストレスなくボヘミアンラプソディを堪能できた。
ある日また違う歌を歌っていたから「何?その曲」ときくと「映画で出てた曲」と娘。「え?」と私。3冊買った楽譜のうちの一つにその曲はあった。Somebody's loveだった。
もし一人で見に行ってたら、忘却の彼方で、決して弾くことのなかった2つの楽曲。その他の曲も娘は歌い出す。
娘と一緒に映画見られて、本当に良かったなと思う。
娘とはYouTubeの映画と実録同時進行映像を、ことあるごとに一緒に見て楽しんでいる。娘のおねだりで。