個人的物語のつくり方
はじめに
現在漫画のネーム作業に苦しんでいるりんごさんです。こんにちは。
今回は先日公開された拙作、「そして、つづく日々」のお話づくりの過程を言語化してみようと思います。言語化することで誰かの、また私自身がお話づくりに悩んだときの助けになるとうれしいなと思います。
書籍「SAVE THE CATの法則」「シナリオ・センター式物語のつくり方」などを参考にしています。
アイデア出し
まずはアイデア出し。
ログライン(ストーリーを表す1行の文章)を考えます。
このときに出したのは、
①「秘密基地を建てるこどもと老建築家の交流」
②「とある建設現場にこどもからの脅迫状が届く」
③「仲の悪いおじいさん同士の孫たちが結婚する話」。
この中から編集さんと相談して③「仲の悪いおじいさん同士の孫たちが結婚する話」を描くことに決まりました。理由は私の課題である「キャラを立たせる」に焦点が合わせやすそうだから、シチュエーションがおもしろそうだから、でした。
ちなみにこのログラインの発想元は「ロミオとジュリエット」の反対する親族側が主役の話、というものです。
このときのお話のイメージとしては、施設で仲の悪いおじいさんたちが喧嘩しながら孫たちの結婚式場に向かうロードムービーを想像していました。頑固なおじいさんと愛想の良いおじいさんが結婚に反対しつつ、いがみ合いながら式場に向かう過程で和解し、最後に孫たちを祝福する、という流れです。
プロット
次にプロットを考えます。
わたしの場合は何となく絵をイメージしながら文字で場面、セリフを書いていきます。
テーマは「素直になることは大切だ。」です。
施設でいがみ合うおじいさんたち、そこに面会に来た二人の孫たち、「私達結婚するの」と言う孫に対し「こいつと親戚なんて嫌だ!!」と叫ぶおじいさんたち…等々。
一通り描いたらネームにします。絵を入れてコマを割って漫画の設計図みたいなやつですね。この状態になると私も客観視しやすくなり、夫に見せて感想をもらえたりします。
ここで問題が発生します。
いがみ合うおじいさんたちのやり取りが全然おもしろくないのです。仲の悪い口喧嘩の描写ばかりで読んでいてストレスでしかありません。話の起伏も小さい。おもしろくない!仲の悪いおじいさんたちのやりとりが「お楽しみポイント」だと思っていたのでこれは大誤算です。困りました。
式場に向かうまでに起こる事件なども考えました。頑固なおじいさんの病気、発作、車椅子で病院を飛び出すおじいさんたち、最後は病院に駆けつける孫たち…うーん。イベントだけ考えてもおじいさんたちの心情の変化が想像できずピンと来ません。
この辺りでおもしろさってなに?とドツボにはまります。
アイデアを考え直す
そこで「そもそもおじいさんたちはなんで仲が悪いの?」というところをもっと深堀りすることにしました。
色々考えて(嫉妬とかかな?とか。割愛します)仲の悪いおじいさんたちのやりとりがストレスならもう何も描けないんじゃないか?と落ち込んだりしました。
悩んで悩んでちょっと放置して、そしてはっと思いつきます。「逆だ!」と。
仲の悪いおじいさんたちの現在にばかり焦点を当てていたけれど、仲の悪い描写はストレスなのだから、その逆で、仲が悪くなった出来事に焦点を当てるべきだ、描くべきはおじいさんたちの過去だ、と。
そこから、最初は仲が良かった二人が仲違いする方が個人的に萌えるな、と思い、「かつて親友だった二人の男がある出来事をきっかけに疎遠になって、孫同士の結婚式で再会する話」という今回の漫画のログラインが完成しました。
長かった…!
そして「ある出来事」とは?同じ女性を好きになったとかも考えたのですが、どちらかが「約束を破った」んだろうな、どんな約束かな、待ち合わせに来なかったとかかな…と考えた結果、「一緒に上京する約束を破る」ことになりました。待ちぼうけになる男と一人電車に乗る男。いいじゃん。
そんな妄想を繰り広げ調子に乗ってきたところで再度プロットに挑戦しました。
完成ネームへ
ここからは割とスムーズに完成形に近いものができました。
完成した漫画がこちらです。
おわりに
以上になります!
まだまだ未熟な私の創作過程にお付き合い頂きありがとうございました。
これからも漫画づくりを頑張っていきたいと思いますのでよろしかったら応援よろしくお願いします!
皆様も良き創作ライフをお過ごしください!
それではまた新しい漫画でお会いしましょう。
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