「はじめてのりんご、どうだった?」りんご音楽祭2022広報チームの振り返り座談会(風音編)【ココが変だよ、りんご音楽祭vol.9 前編】
「私は音楽フェスに行かずに死ぬんだろうなって思っていました」
長崎 さて今回は、今年のりんご音楽祭で広報を一緒にやってきた風音さんにお話を伺っていきたいと思います。
風音 よろしくお願いします。
長崎 では、改めて自己紹介をお願いします。
風音 今年のりんごの広報で、主にテキストを担当していました、風音です。普段は長野市に住んでいて、フリーライターをしています。
長崎 まずは、りんごが終わってみての率直な感想はどうですか?
風音 「自由だな」って思いました。私、そもそもフェス自体行ったことがなくて。体力もないし、音楽も詳しくないので、野外音楽フェスにいかずに死ぬんだろうなって思っていたんです。
長崎 へー!
風音 暑くて過酷で、みんなアウトドアファッションでノリノリ……みたいな、すごい偏見を持っていたんですよ。でも、今年初めてりんごに行ってみて、フェスのイメージがだいぶ変わりました。例えば、昼寝をしてる人がすごく多い!
長崎 昼寝してる人、ほんとに多いですよね。
風音 最初の方は、チケットを買って松本まで来て、それでいいの!?って思っちゃったんだけど。3日目にようやく「よし、私も昼寝をするぞ」って昼寝してみたの。
長崎 意気込んで昼寝を(笑)
風音 それがめちゃめちゃ気持ちいい!誰が演奏してるのかわからないまま寝てて、聴こえてきた歌声がすごく良くて「誰だ!?」って起きて前の方に移動する、みたいな。これでいいんだ!って思いました。私は当日のレポートを書く仕事があったから、いっぱい見なきゃ回らなきゃって意識して動き回っていたんだけど、ただの参加者だったら、そこまで全部回らなくてもいいんだなって会場にいる人たちを見ていて思いました。私も十分ゆるくやったと思うけど、もっとゆるくていい。
長崎 この人絶対きのこステージしかいないでしょ、みたいな人いますよね。
長崎 そうそう(笑)りんごステージの木陰でレジャーシートを広げて、そこで本を読んでるお姉さんとかもいたの。プロのアーティストの生演奏をBGMにして好きな本を読む、なんて贅沢なんだ!って。あれは結構衝撃だったなぁ。
バイキングやビュッフェ気分で楽しめる欲張りなフェス
長崎 もともと、自分ではフェスに行かないだろなと思っていたけど、行ってみたら自由で楽しかったんですね。
風音 「フェスかぁ、私はいいかな」って人ほど、来てみてほしいなって思いました。
長崎 それは、ライブとかとは違うんですか?風音さんはライブもあまり行かない?
風音 そうだね、ライブも何回かしか行ったことがなくて。ライブって、同じ席で1時間とかずっと立って聴いたりするじゃない? 自分が動けないし、あんまり選択肢がないというか。でも、りんごは自由に動き回れる。
長崎 なるほどなぁ。たしかに、普通のライブとフェスの決定的な違いはそこですよね。
風音 りんご、知ってるアーティストがあんまり出てなかったの。そもそも音楽そんなに詳しくないし。でも逆に、「これが聴きたい!」みたいなのがない人ほど楽しいかも。
長崎 それはどうしてですか?
風音 私、バイキングとかビュッフェが好きで、いろんなものをちょっとずつ食べたいタイプなの。欲張りでミーハー。りんごって、たまたま見つけたアーティストがすごくいい!とか、人いっぱいいるから行ってみようって聴いてみたらめちゃめちゃかっこいい!とか、つまみ食いができるの。
長崎 なるほど!
風音 好きなアーティストがたくさんだと、「ココは絶対に行かなきゃ」とか、ここのステージ被ってる!とかなるのかな、と思うんだけど。私みたいに何も知らないと、フラフラ回れる。良いアーティストと出会えたらラッキー、みたいな宝探し感が楽しかった!
長崎 めっちゃいい楽しみ方ですね。他に、りんご自体の感想はありますか?
風音 うーん、フードがおいしかった!いっぱい食べたなぁ。
長崎 おぉ。出店の。
風音 そばとか、長野名物もあるし、全国から集まったおいしいものが食べられる。演奏の合間にとりあえずお腹を満たす!じゃなくて、今日何を食べよう!って気持ちで純粋に「食」が楽しめました。
長崎 音楽だけじゃない、フェスの楽しみ方ですね。
風音 出店者の人たちがご機嫌だしフレンドリーだから、またあそこで食べたい、買いたいって気持ちになったりしてね。
長崎 松本のお店が多いですよね。普段フェス出店ばっかりしてるお店じゃなくて、個人店だけどりんごは出る、みたいな。
風音 松本に行けば、またあれが食べられるんだ、またあの人に会えるんだって、その先の楽しみがあるよね。
長崎 「住んでいる街でやるフェス」ならではですね。
会場の人はみんな友達?一人でも楽しかった
長崎 ちなみに、風音さんは3日間お友達と回られてたんですか?
風音 そう、だいたい友達と。でも途中で、「私こっちいくから、また合流しよ」って別行動したり、友達が先に帰ったり、結構自由な感じだったかな。いろんなステージがあるから、ずっと一緒にいないで別々に回っても楽しめたね。
長崎 「フェスに一人で行くのは抵抗がある」とか、「一緒に行ける友達がいない」ってよく聞きますよね。でもりんごって、一人でも楽しそうな子がたくさんいた。行きのバスで仲良くなって一緒に回ってるんですみたいな人もいたし。
風音 たしかに、それも今までの「フェス」のイメージと違った点で。一人で行って何するの?って思っていたけど、りんごは一人で行っても楽しいし、なんなら一人の方が楽しいのかもしれない。自由だから。
長崎 そうですよね。
風音 出店者の人もフレンドリーだから、店員さんが顔を覚えてくれて、「元気ー!?またきてくれたの?」みたいに声をかけてくれたりして。
長崎 僕も出店していて思ったんですけど、りんごって野外フェスの中でも、大きすぎず小さすぎない規模だから、ギリギリお客さんの顔を覚えられるんですよね。あ、あの人昨日もいたな、とか、この人ドリンク買ってくれるの2回目だなとか。それもすごく楽しかったですね。
風音 floor bitchのtastyちゃんには会った? 初日に、全身にテディーベアをつけた衣装で会場にいるのを見て、「これがりんごか!なんでもありだな!」って衝撃だったの。あとから出演者だって気づいたんだけど。
長崎 (笑)
風音 tastyちゃんは、会場で会うたびに「また会えたね。楽しんでる〜?」って声をかけてくれて。3日目はなかなか会えなかったんだけど、最後にきのこステージでsleeperさんのDJを観に行ったら、「やっと会えたね♡」って向こうからハグしてくれた!
長崎 めっちゃいい思い出ですね!
風音 あれすごいうれしかったなぁ。あったかかった。一人で行っても、会場にいる人はみんな友達!みたいな不思議な空間でした。
フェスも街も、ゆるーく楽しんだ三日間
長崎 風音さんは泊まりで行かれてましたよね?りんご以外の動きはどんな感じだったんですか?
風音 初日は雨だったから夕方くらいには会場を出て松本の街に行ったよ。駅前を歩いてたら地元の人に「この店うまいっすよ!」って声かけられて。りんご帰りなんですって行ったら「松本へようこそ!」って歓迎された。それで、そのお店で馬筋の煮込み、そば、イワナの塩焼きとかを食べて……。
長崎 長野らしいものを!
風音 それから銭湯に行って体をあたためて、夜の部でちょっと遊んで寝る、みたいな。翌朝は、松本城の周りをちょっと散歩してから、松本のカフェの栞日で朝ごはん食べて、昼頃から会場に行って、ステージを見て……。
長崎 しっかり街を楽しんでますね。
風音 夜はちょっと早めに街に戻って駅前で中華を食べて、夜の川沿いを歩いて縄手の方でまたちょっと飲んで、銭湯に行って夜の部を覗いて寝たね。3日目は朝から夜までフルで会場にいて、また街で軽く飲んでぐっすり寝て、長野に帰りました。
長崎 聞いてて思ったんですけど、野外フェスに行く人の時間の使い方じゃないですよね。
風音 ふふ、そうなの(笑)
長崎 「フェスに行く」って、フェスに全てをかけるイメージがあるじゃないですか。全身全霊でフェスを楽しんで、終わったら次の日に備えて寝る、みたいな。もちろん、りんごにもキャンプサイトがあるので、すべてをりんごにかける人もいると思うんですけど。
風音 そういう人もいるだろうね。
長崎 そういう意味では、風音さんはめちゃくちゃフェスっぽくない動きをしていたんですね。
風音 そう。私みたいに体力がなくて、夜更かしもあんまりしたくなくて、いっぱい寝たいし美味しいもの食べたいみたいな、ゆるーい感じでも全然いけました。
長崎 三日間、街もフェスも楽しんでこられたんですね。今回は、フェス初心者としての風音さんの感想をじっくり伺いました。次回は、広報の仕事をしてみての想いを伺っていけたらと思います。