ほしいもの、必要ないもの
社会人になったわたしは、アルバイトを適当にしかしていなかった学生時代と比べたら、たくさんの収入を得ている。なのに、働き出してからなぜだか、給料日十日前になると、「どうしよう、残り一万円」とか言っている(※家にお金を入れたり、一定額貯金をしたりはしているので、月給を全て使い切っているわけではないのだけれど)。
学生の頃だってそれなりに遊んでいるような気がしていたけれど……。どうしてこんなに出費が多いんだろう。
本気で不思議に思ったわたしは、冬頃から、出費を記録し始めた。が、毎月それを眺めても、無駄遣いをしているようには思えなかった。強いて言うなら、食費、交際費(飲み会)が多いくらい。
学生時代は、留学中の旅行費を貯めるために、お昼はお弁当を持参し、食費を浮かせていた(おかげさまで、大してバイトもせず、それなりに遊んだり国内旅行をしながらも、五十万円貯めることができた)。社会人になってからも、毎日千円ランチなんて無理なので、食堂やコンビニで安く済ませるか、余裕がある日にはお弁当を持参したりしていた。
それでも「毎日」お金を使うということは、これだけの出費になるのね。週に数回の飲み代だって、馬鹿にならないのね……。
ほしいものも、旅行で行きたいところもあったわたしは、さらに節約をすることにした。具体的には、飲み会の回数を少し減らすことに―――と決意した矢先、コロナが蔓延し、自粛要請が出たので、わたしは家に引きこもるようになった。するとどうだろう、驚くほどお金を使わない。
こんなにお金を使わないなら、すきなもの何でも買えちゃうんじゃないかしら!
わたしは大好きなTomorrow Landのオンラインショッピングサイトをみたり、Amazonで検索した諸々を「ほしいものリスト」に追加したり、もともとボーナスで買おうと思っていた鞄を調べて眺めたり、本当は自粛開始前に買って家で使おうと思っていた香水の成分を調べたりした。
全部ほしい、ずっとほしかった。でも、今はいらないなあ。
香水以外は、結局はこれだった。
いや、仕事で使うモニターとかはほしいけれど、リモートワーク中だからほしいのであって、通常勤務に戻れば必要ない。
春物のお洋服が欲しいけれど、お出かけできない間に夏が来て、もしかしたら秋や冬が来てしまうのかもしれない。
ボーナスで買おうと思っていた鞄も、今なら買えてしまうくらい貯金が出来ているけれど、お家の中では使えないし、むしろ置き場所に困るだけのお荷物になってしまう。
香水だけは、ほしかった。自粛期間中に使いたかった。
わたしにとっての香水(だけでなく、お化粧もお洋服も可愛い下着も、何でもかんでもなのだけれど)は、自分のテンションを高めるためのもの、自分がご機嫌でいられるためのものであって、誰かに見てもらったりアピールするためのものではない。だから、お家に引きこもっている間、いい気持ちで過ごせるよう、大好きな香りを身にまとっていたい……!と思っていた。
ところが、その香水はオーダーしてその場で調合してもらうということもあってか、緊急事態宣言が発令されてから、ずっと休業※している。オンラインショップも含めて。
※5月末から再開したようです。
残念だけど、仕方ない。従業員の方々の安全の方が大切です。
だからわたしは、相変わらず美味しいもの以外にはお金を使わないで生きている。
またお外に出られる生活に戻ったら、とびきり素敵なお洋服を着て、お気に入りの鞄を持って、大好きな香りに包まれて、大切な人たちと太陽の下を並んで歩きたいなと思っている。
※自粛中の生活のことを、ぽつりぽつりと書いています。以下参照。
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