塔の上の、わたし。
塔はとっくに飛び出した。
長い長い臆病をしっかりと握って。
今、爪先をかすれさせている。
『塔の上のラプンツェル』
(突然何を言い出すかと思えば…)
私は、ディズニーが好きです。
「ファンだ」とも、「大好だ」とも言いません。
ディズニー映画を見始めて、好きになって、もうすぐ一年になるくらいで
ファンと名乗るのも図々しいような気がするからです。
何より、私以上のディズニーファン、自称ディズニーに育てられた人が
私の日常のすぐ近くに存在するので。
ディズニー映画の中で一番好きな作品が、『塔の上のラプンツェル』です。
王道『美女と野獣』や『アラジン』ではなく、ラプンツェル。
理由はまさしく、「私だから」です。
ラプンツェルは、時間を巻き戻す魔法の髪を持ったプリンセスです。
幼い頃に、その力を自分のものにしたい魔女によって拐われ、
森の奥深くの塔の上で、魔女の娘として育てられました。
塔から一歩も出ることができないラプンツェルの望みは一つ。
「誕生日の夜、空に現れる無数の輝きを見ること」
ある日、塔のある森に、お尋ね者の青年・フリンが訪れます。
強気なラプンツェルは、フリンに光の元へ案内するように脅迫します。
長い髪をしっかり握って塔を飛び出し、そろりと爪先を地面へかすめる。
そこから、彼女の輝きを見る小さな冒険が始まります。
これは、ラプンツェルの主題歌の歌詞です。
何も知らなかった、狭い世界で生きていた。
そんな私の毎日が、あなたに出会ってから変わった。
そんな歌詞が、そんなストーリーが、
大学に入学してからの私と重なるようで、
泣かずにはいられなかった。好きにならずにはいられなかった。
これは、"あなた"が恋人だとか、そういうことを言いたいのではなくて、
私が出会った、視野を広げてくれた全ての人に当てはまることだと言いたいのです。
もし、この記事を読んでいるあなたの胸がキュッと締め付けられたなら、
ぜひ『塔の上のラプンツェル』を観てみてください。
なりたいわたし
さて、私は今まさに、ラプンツェルです。
まだ臆病で、新しい世界へ踏み出すことを躊躇っている感じからすると、
自分の髪にしがみ付いて、地面の様子を伺う、物語序盤のラプンツェルかもしれません。
でも、私がなりたいのは、"あなた"です。
私の世界を変えた"あなた"。誰かの世界を変える"あなた"になりたい。
いや、もっと言うならば、ラプンツェルが憧れ続けたランタンの光。
ランタンの光を空へと持ち上げる、光の主に。
「あなたと出会えたから、私の世界が変わったんだ」
そう言われる、人になりたい。