mala noticia

 叔母が突然亡くなったという知らせが届いた。心筋梗塞。この知らせの三週間前は、父が救急車で病院に運ばれたと連絡が来た。髄膜炎脳炎。全治不可能、余命5ヶ月から5年。


 親族から距離を置き、一人で遠い異国に暮らす私は、いきなり社会や家族の感情世界に引き戻された。

 
 最近体がしんどく、何か病気にかかっているのかもしれないと思っている。が、もし万が一重い病気でも医者にかからず天命を受けいれようか、という思いがある。治しても、どんないいことがあるというのだろう。ここ数カ月、こころがずっと重いのだ。

 亡くなった叔母は、親族の中でただ一人、私が家族のなかで置かれている非情な立場を見抜いてくれた人だった。
「それじゃぁお姉ちゃんがかわいそうだ」と言って。
 私は、家族の、私に対する態度や行為を、ひどいものだと認識できなかった。自分のことを全部諦め、遠慮し、母や妹、父、祖父母が一番いいようにすること、それが当たり前だと思っていた。周りの人が幸せになるなら、自分のことはどうでもいいと、まじめに、真剣に、信じていた。今はそれが、恐怖におびえて、その恐怖心を感じないようにするためのものだったとわかる。冷たい家族のなかで育った。そのせいか、人生で冷たい人としか出会わない。この人生は、きつい。


 さて、どうするか。異国の生活を棄てて日本に帰るか。ここにまた帰って来るとして一度帰国するか。どこにいても孤独な人生。さみしい人生。でも、ここにはまだ少し気安いところがある。気安い人たちがいる。帰りたくない。日本は、日本人は怖い、という気持ちが、どこかにある。







 

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