頚椎損傷の殿との生活 1

あれからそろそろ10年になるので、
記憶があやふやになる前に記録しておこうと思う。

2015年3月27日に日付が変わっばかりの頃、突然鳴り響く電話。一回目は悪戯だと思い無視した。しかし、間も無く2回目が鳴り響く。ただ事じゃないと思い、慌てベッドから飛び起きた。

京橋にある、A病院といいます。○さんのお宅ですか?ご主人が、駅のホームから転落されまして..

何を言ってるの?頭の中が空っぽになった。

意識はあるんですか?

あります。外傷は見たところたいしたことはないのですが、中がどうなっいるか、今、調べています。出てこれますか?

え?子供達がいるので、相談してみます。

何が何だかわからなかったが、取り敢えず落ち着こうと思った。

やっぱりいこう。一晩入院っぽいから着替えを持って行こう。

自分も着替えをし、彼の荷物を準備しようとした。
ところが、彼の服のありかがわからない。私、彼の事がわかってないのかも?そんな事に気付き、複雑な気持ちになった。

長男を起こし、
パパが駅のホームから落ちて、大変やから。病院行ってくる。もし、帰るの遅かったら、弟と、朝ご飯、食べといてな。
と、伝えて車に乗った。

頭の中はまだ、ぐちゃぐちゃ。眠くて、彼を心配する気持ちと、怒りがあった。
いつまで、私は彼に振り回されるんやろ。
電車が、来てなくて良かった。
など、色々。

病院につくと、医者ぽくない、頼りなさげな医者が説明してくれた。

レントゲンの写真です。
頸椎が、わかりますか?ここ、折れてるの。
意識はあるんですけど、足が動かないんです。

え?

この人は、何を言ってるんや?
理解するのに、暫く時間が、かかった。

治るんですか?

現時点では、何とも。

涙がこぼれてきた。
ほら、やっぱり。また試練が与えられる。
またこんな、形で、与えられるのか?

パパごめんな。息子達ごめんな。ママ、どうしたらいいんやろな。

涙がとまらない。
これからどうなるんやろ。
暫くして、彼と面会。

パパ、私、わかる?
焦点が合ってない。
うっすらと、目は開くけど、意識は朦朧としているようだ。

大丈夫?

ただ事じゃないことを、ここではっきりと知った。
おでこに傷。頭の後ろも、傷があるようだ。首は、固定されている。点滴の管、色々くっついている。

足だ!
どうなん?
さわってみる。

パパ、足、さわってるよ。わかる?

返事なし。

何があった?
落ちたんんやで、わかる?

微かに頷く。
会話にならない。
でも、生きてる。良かった。本当に良かった。また、涙がでる。
それだけで、いいや。そう思った。

待っている間、
病院の待合室で、色々と考えた。涙は止まらない。

どれ位待ったのだろう。
この病院では、彼の治療は出来ず、別の病院を探していた。
聞こえてくる電話の様子で、たらい回しにされているのは解った。

どういうこと?
そんなに、重傷ってこと?

自分で、病院を探そうと思い、電話を握った。午前2時半。誰に電話するればいい?
わからない。

どうしたらいいのかわからない自分に腹が立った。

弟に電話、やっぱりでない。
やっぱりな。

色々電話するが、繋がらない
直ぐに返事がきたのは、知り合いのおばさん。
驚いた。ありがたかった。

ゆうさん、大丈夫?しんどかったでしょ?1人で大変だったね。

涙が、また、こぼれた。張り詰めていた気持ちが、プツンと、切れた。

あ〜、こんな時間に電話してくださるんなんて。ホントにうれしくて、少し気持ちが落ち着いた。

その後、暫く話を聞いて頂き、色々と、指示をして下さった。

こんな事のために、ご自分もしんどい筈なのに、動いてくださるん人がいる。
ホントに何より嬉しかった。
そして、勇気がでてきた。
ありがとうございます。
私、負けませんから!
絶対に!

そうこうしている内に、病院が決まり、転送される事になった。

真夜中の道を救急車について、走った。救急車は、ゆっくり走ってくれたが、気づいた。
救急車は、信号で止まらなくていいってことをあらためて。

病院について、驚いたのは、ICUの凄さ。でも、まだ何で彼がここにいるのかは理解できず。
先生の話を聞いていくうちに、事の重大さがわかっていく。

取り敢えず、落ち着こうと思った

夜が明け始めていた。
医者からの説明。
手術?
どういうこと?
理解できない。ただ、彼は重症で、対応できる病院はここしかなかったということ。

取り敢えず、この病院なら大丈夫みたいなので、家に帰って子供達に話さないと。

救急隊の人にお礼を言って、看護婦さんと話をし、家に帰ることにした。

パパがね...手術やねん。
一緒に病院へ行こう!

何?僕、塾あるし。と、次男。
パパ、死んじゃうかもしれへんから、お願い。

つづく

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