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草間彌生 個展 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて 於:松本市美術館

【文字数:約1,300文字】
お題 : #オンライン展覧会

 今から4年前になるけれど、長野県は松本市美術館にて、草間彌生さんの個展が開かれていた。

 先日に聴いていたラジオにて、障害者が美術品をどのように鑑賞するのか、といった特集があり、件の個展を思い出した。

 ラジオでは美術品を鑑賞するのが、健常者の大人を想定しているのではという話も出て、非常に興味深い特集だった。

 ◇

 草間彌生さんの個展「ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」では美術館の外観にも手を加えており、建物自体が作品と呼べるかもしれない。


目立つ赤い水玉
出入口の脇には犬?

 建物の前には、見上げるほど大きな花の作品が鎮座する。

手前の人のバッグも水玉
作品名「幻の華」
左の花のアップ
表と裏で白と赤が反転させてある
右の花

 館内の展示物は基本的に撮影NGながら、撮影OKだった一部を載せる。

作品名「考えるかぼちゃ」
草間彌生バルーン & 水玉犬
作品名「真夜中に咲く花」

 立体造形の他には絵画も展示されており、そちらは撮影OKだった。

 その中で特に気になったのがコチラ ↓

「陽光の中で世界に平和を望む」
あるいは
「死が訪れた瞬間」

 たしかそれぞれに題名が2つあって、観た人間による印象および解釈の違いを表しているのか、あえてイメージを固定させない試みなのかもしれない。

 草間彌生さんは夢の中に出てくる水玉を描いていると、何かの番組で見聞きしたような。

 自販機やマネキンを水玉にするのは、さすがにやり過ぎではと思うけれど。

2005年のサインがある
作品名「水玉強迫」

 そして中庭には中々に生意気そうな名前の売れたカボチャがあった。

作品名「大いなる巨大な南瓜」
うしろ に まわりこんだ!
きょり を とった!
うえ から のぞきこんだ!

 目が疲れてきたところで、落ち着いた銀色の水玉と出会う。

 館内の展示で、絵画の他に気になったのは部屋をまるごと使った作品で、暗闇で光る塗料で水玉を描いたものと、鏡合わせの部屋に入るものの2つだ。

 水玉を暗闇で光らせるために、あまり目には良くない照明を使っているとかで、案内の人が「目をつぶってます」と言っていたのが衝撃的だった。

 もう1つの鏡合わせの部屋に入る作品は、無限に続くカボチャ畑にいるような錯覚に陥るのが気に入り、お願いして2回体験させてもらった。

 ◇

 草間彌生という芸術家について、私は「水玉の人」というイメージしか持っていなかった。

 個展ではイメージ通りだと感じる一方、水玉の見当たらない絵画もあることが発見だったし、おかっぱ頭の草間彌生ヘアーにしている人を見かけた。

 おぼろげな記憶ながら、そうした人たちは水玉の服を着ていたので、作品の前に立つと作品の一部や、もしくは草間彌生さん本人がいるように錯覚した。

 すると作者本人もまた作品なのやもと推測させ、夢との境界を現実の側から侵食しようと試み続けているのではと、そんなことを考えた。

 現在、香港ではアジア最大規模の個展が開かれているらしい。

 入場料が日本円にすると4,500円とのことで、IMAXはもちろん座席の動くMX4Dよりも高いけれど、それだけの価値があるということかもしれない。


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