やせい の ウラシマソウ が あらわれた!
【文字数:約1,000文字】
週末ツーリングに出かけ、ウラシマソウなる植物と遭遇した。
これは1人のポ〇モンマスターを目指しておらず、ごく普通かもしれない元少年の物語だ。
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天気は曇りがちな晴れで迷ったものの、いざ出かけてみれば晴れたり曇ったりが交互にやってきて、表情の豊かな1日だった。
目的地は静岡県の東にある伊豆県もとい伊豆半島。キミに決めた!
まずは接している神奈川県の小田原まで移動し、箱根との分岐で左に曲がる。直進すれば富士山への突撃コースながら、海沿いの伊豆コースも実に良い。
1mずれれば海という崖沿いの道を走り、湯河原、熱海、伊東、伊豆高原と南下して、半島の先にある下田を目指す。
道すがら、早咲きで有名な河津桜の名を持つ河津を散策。
さすがに川沿いの桜並木は緑一色だったけれど、芽吹いたばかりの新緑は鮮やかで、桃色の桜とは違った良さがある。
ちなみに例年2月から桜まつりを開催しているので、ぜひ興味のある方は訪れてみて欲しい。
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下田は今をさかのぼること約170年前、日本が江戸時代だった頃にペリーが来航した場所だ。そこから急激に「外国」という存在感が増して、近代化へと至る道筋が始まると。
残念ながら黒船は持っていないので二輪車を走らせ、はるばる下田を訪れたのが昼過ぎくらいだった。
近海の魚を出す店には目もくれず、海沿いの山林へと分け入って、私は出会った。出会ってしまった。
ウラシマソウ。
フシギソウのようにウラシマダネ、ウラシマバナとは進化しない日本の固有種で、ほぼ全国に分布しながら育つ環境が特殊で珍しい種類らしい。
ウツボカズラを彷彿とさせる見た目でありながら食虫植物ではないらしく、しかも生育に適した環境として適度な日当たりが必要で、そのくせ湿度も欲しいという贅沢さんだそうな。
調べてみると雄株と雌株がありながら性転換するだとか、根から増える球根植物でありながら種でも増えると、非常に面白い特徴があるようで。
そして種は赤くなるためによく目立ち、探すと前に撮影していた写真を見つけた。
焙煎する前のコーヒー豆みたいで、紅葉が過ぎて色を失った山林では目立つし、なにより美味しそうだ。
しかしサポニンという毒性があるらしく、遭難しても食べてはいけないと学んだ。
海のすぐそばに行きながら、植物について新たな発見をする。
それが私のツーリングだ。
もうしわけ程度に海っぽい雰囲気の写真を添え、本稿を締めとする。
記事を拝読している方が、タイミングよく植物に関する本のレビューをしていた。もし興味があれば目を通してみては如何だろうか。