ヤクザイシに相談してみた結果
【文字数:約1,100文字】
ヤク、ヤクをくれぇ……!
そんな状態に年数回くらいなるもので、病院通いをしてイシからヤクを処方してもらう。
もちろん合法的な薬で、商品名だとリンデロンVG軟膏やサトウザルベ、ロコイドクリームなどだ。
それらを使って完治したと思っても、冬の乾燥または夏の汗疹で復活するという、なんとも防御力の低い肌をしている。
病院に行っても診察とは名ばかりの世間話をするだけなので、どうにかならないかと話したら、イシは笑顔で言った。
一般薬なんて全然きかないですから(笑)
ホンマかいなと思いつつ、イシの処方するヤクの効果が抜群なのは確かだし、世間話と薬代で年に数千円の出費なら、まぁいいかと思っていた。
それが昨今の情勢もあり、病院に行くことが億劫になった。
とはいえ、数ヵ月前から汗疹が元になったと思われる皮膚炎が出て、それが治りかけたり広がったりして、見た目が流行りのサル痘っぽくなっていた。
闇の力が暴走しないようにしていると、包帯を巻くのは夏場だと危険だし、そもそも仕事の邪魔になる。
どうしたものかと考えて、先日にドラッグストアのヤクザイシに相談してみた。
少し前にも雑談のつもりで目薬について尋ねたら、数百円から千円近い品物について説明してくれたので、それも動機の一助になった。
しかしヤクザイシは言った。
病院の処方薬が一番ですよ!
「ブルータス、お前もか」と言いかけるのをこらえ、今の病院に行くのは遠慮したいと伝えたら、いくつかの候補を上げた後に、
じゃあワセリンはどうですか?
やや困り顔でそんな提案をされた。
リップクリームなどにも含まれる保湿成分だし、薬効がない代わりに刺激も少ないとのことで、とりあえずの軽い気持ちで試してみた。
すると確かにヤクよりも劇的に治るわけではないけれど、少しずつ皮膚そのものが再生するのに合わせ、人間らしい肌になってきた。
はやくニンゲンになりたい!
妖怪人間の気持ちを想像しつつ、皮膚は中から新しいものが生まれてくるわけで、その防御力が整う前に傷むから長引くのだと、考えてみれば当然なことを再認識した。
なによりヤクザイシに相談しなければ、ワセリンを使うなど考えもしなかったので、機会があれば御礼を伝えたいと思っている。
そして荒井ママレ『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』という作品を読んでいたので、それも相談してみる動機になったと後から気づいた。
もしもイシに相談するほどでもないし、と考えている方は気軽に相談してみてはどうだろう。
ただしヤクザイシと似た資格として、登録販売者も存在することを添えておく。
↑ これが ↓ になるわけで……。