はや

旅行と美しいものを愛するただの食いしん坊。

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ばあちゃんが見た海

先日、3年ぶりに父方祖母に再会した。 仕事の忙しさに加えてコロナの流行もあり、 久しく顔を合わせていなかった祖母は 記憶の中の姿よりも小さく見えた。 私の顔を見ると嬉しそうに近づいてきて、 変わらない広島弁で、おもむろに話し始めた。 「ばあちゃん、若い頃は、  年寄りは嘘ばかりつくと思いよったんよ」 意外だった。 幼い頃はしっかり者で優しいばあちゃん。 思春期には、片付けが苦手でマイペースな ばあちゃんの人間らしさが見えてきた。 大人になり、ばあちゃんが生活のために

    • 人生の選択肢たちがモンゴルに集合していた話

      昨年、仕事に関係するNPO団体の活動で数日間モンゴルに滞在した。 私以外の参加者のほとんどがその道のエキスパートであり、私は若手として勉強させていただく要素が大きかった。 日本では起こりえない状況や、日本より多くの制限がある環境で、どう工夫してより良い形を目指すか。 先人たちが積み重ねた経験と熱い思いを間近で感じることができて、とても良い刺激になった。 まだまだ私は駆け出しだが、自分の専門分野を決め、現在の職場に勤め、モンゴルでの活動に参加するまでに、振り返れば多くの選択肢

      • 米粒の行く先

         お世話になっている先輩と焼肉に行ったときのこと。  その先輩は大変優しく、几帳面で、視野が広くて色々なことに気づいて部署内を支えてくれている超貴重な存在である。ちなみにメンズノンノくらい足が長い。  ご多忙な先輩であるため、サシでご飯を食べる機会は今までなかったのだが、その日は早く仕事が終わったのか、私服の短パン姿で美脚をさらけ出しながらふら~っとデスクに歩いてきて「今日めし行かん?」と声をかけてくれた。先輩は前日がお魚だったとのことで、その日は焼肉に行くことになった。

        • Wifi

          私は今大変困っている。 パソコンのWi-Fiがつながらないのだ。 今は仕事の当番で職場に待機しており、なにか緊急の対応が必要でない限りは自由時間である。私はいつもこの時間を使って、調べ物をしたり、noteを書いたりと充実したインターネット活動をしているわけなのだが、なぜかWi-Fiがつながらない。 トラブルシューティングをしてみると、内蔵されているWi-Fiのアダプターに問題が発生しているとかなんとか書かれていた。 手持ちのスマホで解決策を見出そうと検索すると、どうやら何か

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        ばあちゃんが見た海

          父のこと

           30年間で初めて、父の日に自分から電話をした。  うちの父は仕事が忙しく、物心ついたころには深夜帰宅し早朝に出勤する生活を送り、中学以降は単身赴任で遠方に住んでいたため、接する機会が多い方ではなかった。  家にいないのが当たり前すぎて、一緒に住んでいたと思っていた時期も、実は単身赴任をしていた期間があったらしい。最近知って驚いた。  そんな中でも、父に関する思い出はある。  印象に残っているのが、日曜の早朝に妹と連れられて行った釣りである。私は赤色、妹は黄色の子供用の釣

          父のこと

          肌寒いの個人差よ

          10月中旬に秋田へ旅行に行った。 3泊4日かけて秋田を満喫し尽くすぞと、同行した先輩とともに意気込んで挑ん旅だ。先輩のやる気を反映してか、先輩のスーツケースは私の倍くらいの大きさがあった。 その日の秋田は快晴で、飛行機から降り立ったら眩しい日差しに照らされた。 半袖でも全然いけますね、などと先輩と話しながら、レンタカーに乗り込んだ。 一日目は青森との県境まで向かい、白神山地のトレッキングを行った。 仕事では先輩の背中を追いかけてばかりなのだが、ブナ林でもやはり同様にズンズン

          肌寒いの個人差よ

          料理?それは何を意図して私に求めてるの?

           今まで付き合った人に料理を作ったことは数えるほどしかない。  そしてそのどれもが、苦い思い出を伴っている。  大学生の時の彼氏は、彼女に「家庭的」を求める人だった。  今思えば、男兄弟の中で育ち、女性と大して付き合ってことがない彼の初々しい憧れだったのだろう。結婚するなら本当は専業主婦になってほしいなどと言いながら、とにかく、しきりに手料理を求められた。  一方の私はとんでもなく天邪鬼な性格であったため、求められれば求められるほど、頑なに料理を作らなかった。  ただ、相

          料理?それは何を意図して私に求めてるの?

          40分の使い方の最適解

          「釜で炊いた飯はうまいよ」 ひとりで箱根旅行に向かうべく 計画を立てている私に先輩が言った。 美術館をどう巡るかで頭がいっぱいだった私は 適当に相槌を打ち、Googleマップと向き合った。 どうやら星の王子さまミュージアムの近くには 食事処が多くありそうである。 昼ごはんはこのエリアで食べようと決めた。 当日、ガラスの森美術館を後にして 星の王子さまミュージアムへ向かう道を てくてくと歩いた。 道中、流れる川から硫黄の香りがした。 早起きしたのでずいぶんとお腹が空いて

          40分の使い方の最適解

          「褒める」お作法 ~カムカム視聴者が語る~

          「褒める」という行為は難しい。 そもそも褒める目的は何か。 太鼓持ちやご機嫌取りもあるかもしれない。 でも一番は、相手の心に寄り添い、 相手を喜ばせたいからではないだろうか。 それを成しえるには、相手への理解が必要だ。 前提として、相手にとっての自分の立ち位置を 正確に捉えておくことが重要だ。 カムカムエヴリバディで例えてみよう。 五十嵐が殺陣を練習していたとする。 「引き算もできない馬鹿」のひなたが 頑張ってるねと褒めても お前に何が分かるんだ馬鹿案件になるだけだ。

          「褒める」お作法 ~カムカム視聴者が語る~

          チョコ?あれはほろ苦い食べ物だよ

          初めてのバレンタインは幼稚園か小1の頃 お気に入りの男の子がいた娘に興奮した母が 張り切ってチョコをこしらえてくれて手渡すと、 これまた息子のもらったチョコに興奮した相手の母が 小さなかわいい飴をこしらえてくれた。 透明な包み紙に入った黄色やピンク、黄緑の飴が 宝石みたいに見えたことを覚えている。 小学生高学年になると友チョコ全盛期だった。 友達の家に集まり市販の板チョコを湯煎で溶かし 生クリームを混ぜた生チョコを量産していた。 初めてニキビができたのも、その頃だ。 中学

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          荒廃した食卓に一筋の光

          コロナの感染者数が増え続けている。 そもそもの趣味が 食べ歩き、海外旅行、舞台鑑賞など 今のご時世と相性が悪いせいもあり 休日に外出する機会がめっきり減った。 美味しいものを家で食べようと 自炊に精を出していた時期もあったが、 自堕落な性格が徐々に顔を出し 今では家で口にするものといえば 白菜と白ネギとポン酢のみだ。 上司に言ったら本気で健康を心配された。 そんな荒んだ食生活を送る私の食卓に 一筋の光が差した。 ふるさと納税の返礼品である。 いつからか米を炊くことを諦

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          強くなれそうなコスメください

          20代半ばの頃である。 先輩が好みど真ん中の人を紹介してくれた。 同い年で背が高い飄々とした人。 共通点が多く話が合い、何度か2人でご飯に行った。 マイペースだけど思いやりがあり たまにシュールな一言を発する彼に 私は夢中になった。 彼からの連絡に一喜一憂し、 食事に誘われたら服を買いに行き、 たまに甘い言葉を投げかけられるたびに 彼と付き合う近い将来を妄想した。 ある時、2人で星を見に行くことになった。 周囲には絶対に告白されると囃し立てられ 私もその気になっていた。

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          どうせ歌うなら楽しくないと

          大学3年生の頃、友人とインドに行った。 ありきたりな学生旅行ではあったが、 道路を歩く水牛、歴史と宗教を感じる建築物、 そこで生活する人々など、 目に入るものすべてが新鮮で ドキドキしながら旅をした。 旅行はトラブルこそが醍醐味というのが わたしの個人的な信条だが、 インド旅行は典型的なそれだった。 友人がスマホをスられ、速攻つかまった犯人が 野次馬に囲まれど突かれるのを見て怯えたり、 「日本語の練習したいからおしゃべりしよう!」と話しかけてきた少年に見える子が実は同世

          どうせ歌うなら楽しくないと

          コロッセオ、そして素数

          「東京から俺の友達が来る。超いい奴だから一緒に飲もう。」 職場の先輩に誘われて向かった先は心斎橋にある老舗イタリアン。 先輩曰く、イタリア料理がナポリタンくらいしかなかった頃に 本物のイタリアンが食べたいイタリア人が作ったお店とのこと。 御堂筋線の心斎橋駅を降りて5-10分歩くとお店に着いた。 イタリア国旗と白いライオン像を目印に地下へ降りると入口がある。 店内は広々とし、所々にイタリアを感じさせる仮面や絵が飾ってあった。 着席するとハイテンションなイタリア人おじさんが接

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