「りな」になった日

喧嘩して、家出した。
みんなしてお金お金お金。
もう疲れたよ。
冷たくされて、心の拠り所も失って、絶望していた。
お金を要求されて出せない私には価値はない。

だからその日、「りな」になって、知らない人とベッドにいた。
ハゲでチビでデブで、静かなおじさんに体を売った。
知らないやつのちんこをしゃぶった。それっぽい演技をしておじさんの自尊心を満たしてあげた。
抜いたあと、添い寝して優しい言葉をたくさんかけてあげた。おじさんはみんな寂しがり屋ばかりだ。
言わなくてもわかる。私がおじさんにとってどんな人を演じたらいいかだなんて。

これで1万5000円。あっけなかった。
楽しくも、面白くもない。
こんなもんかって思ったし、死にたくなった。
心がなくても濡れる自分が汚かった。

今度いつ会える?

求められると余計苦しい。

死にたくなる。

そしてそのままホームセンターに行った。
ロープを買った。
コンビニで酒を買って
人気のない場所で車を停めた。
心配かけたくないから、しばらく一人になりたいから探さないでと連絡を入れてスマホの電源を切った。
酒を多めの眠剤で流して車内で首を吊った。

この先の明日なんか見たくなかったんだ。

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