自分の都合で子どもを叱ってない?六本木の本屋での出来事~サバティカル休暇日記②
はじめての家出先に六本木を選んだのは、ここに行ってみたかったから。
それは、「文喫」という本屋さん。
ただの本屋さんではなく、ここは入場料があるってことでずっと気になっていた場所だ。
店内には様々なジャンルの書籍が約3万冊あり、入場後はどれだけ滞在しても自由!入場料の中にコーヒーや煎茶(おかわり自由)の料金も含まれていて、飲み物を片手にゆったり好きな場所で自由に読める。
加えて、Wi-Fiや電源も完備しているので、仕事するのにも使える。
セレクトされた書籍たちを、時間を気にせずにゆっくり読むのはもちろん、これからのことをひとりでじっくり考えたり。サバティカル休暇がはじまってすぐのタイミングで行くのにぴったりの場所だと思ったのだ。
ホテルの朝食を食べて出発準備をすると、ちょうどオープンの時間になっていた。
文喫デビュー
雑誌、アート、旅行、ライフスタイル、哲学、歴史、社会、ビジネス、心理、自然、化学、映画、マンガ……
入り口を入ると、さまざまなジャンルの本が並ぶ、おしゃれな空間。
ひとり用のソファ席を確保し、いざ本棚の方へ。
はじめて行く本屋さんなので、どこに何があるか分からず、まずは店内を全部見てまわる。
ジャンルごとに区分けされた本棚。手に取る本を取り換えては、ソファで読む本をじっくり吟味する一画がある一方、ほとんど素通りする一画もあり、
あー、わたし今、実はこのジャンルに興味があるんだ。
という発見があっておもしろい。
喫茶室でオーダーした飲み物と共に、気になった本数冊をソファ席に持って行ってページをぱらぱらめくる。
本日のキングオブ一冊
じっくり読んだり、途中で飽きてしまって読むのをやめたりを繰り返し、本棚とソファーを何往復かしたあと、ライフスタイルのジャンルで手に取った一冊がこちら。
「かんがえる子ども」
数々の絵本作品で国際アンデルセン賞を受賞した、世界的画家・安野光雅さんのエッセイ。
読みやすい文体と、かわいらしいイラストがなんとも言えない。読み進めると、こんな一節に出会った。
「子どもを叱ってしまった」と思ったときは、考えてみてください。
よく見ていると、親が自分の都合で子どもを叱っていることが多いことに、わたしは気が付きました。たとえば、家で洗濯ものを干している時、買い物をしている時に、子どもが邪魔をするとか、自分が急いでいるのに子どもが手間をかけるとか、ほとんどの場合、おとなのさまたげになるときに叱っているように思います。
子ども自身の成長に必要だから、ということで叱っている方は、少ないのではないでしょうか。
ひやりとした。
身に覚えがありすぎる。
本を閉じ、最近子どもを叱った場面を思い出す。
「あれもこれも、子どもの成長のことを考えたんじゃなくて、時間に追われた自分都合の行動だったかもな。どうするのがよかったかな。」
と過去を反芻しながら、氷が溶けきった飲み物をストローで飲み干した。
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日々の生活だと、本を読む時間をつくることさえ難しくて。いざ読めたとしても、本の余韻を味わったり、内容を踏まえて自分に向き合うことなんてもってのほか。
今日このタイミングで今の自分に刺さる本と出会えて、本の内容を自分に重ね合わせて子どもとの関わり方について考えることができたのは、この場所や空間の力が大きかったな。
そんなことを考えながら、保育園のお迎えに間に合うように帰路についた。