生後395日の子どもと、満員電車の大人の共通点
1歳を過ぎた頃、ついに、娘が歩いた。
「ぽてっ、ぽてっ」という効果音が似合う。頼りない足取り。
終電近くの駅構内にいる酔っぱらいみたい。千鳥足で、ふらふら歩いてはころんと転ぶ。
転んでどこかぶつけるんじゃないか。怪我するんじゃないか。……どきどきして目が離せない親の気持ちなど知る由もなく、自分の身体を自由にあやつって行きたい場所に行けるようになった喜びを発散しながら歩く彼女。
何度も転ぶうちに、歩くときには手をバンザイするようになってた。
「3頭身くらいで頭が重いから、手を上に上げるとバランスがとりやすいのかな。」
「たくさん転ぶ経験をして「転ばずに歩く方法」を自分なりに編み出したんだな。」
そう思うと、無邪気によちよちしてるだけに見えた娘が天才に見えてくる。(親バカと呼んでw)
かつて人はみんな無邪気な子どもだったよ
朝、奇跡的に座れた満員の通勤電車の中で、インスタに昨日撮った娘の写真をアップする。
「ぽてっ、ぽてっ」という効果音が、聞こえてきそうな写真。
最後にシェアのボタンをタップして、「投稿してます」の表示がされた瞬間にふと目線を上に上げると……
つり革に手をかけて、バンザイしてるみたいなスーツ姿の大人たち。
歩き始めた娘の姿にそっくり。
「ああ、この電車に乗っている人たちはみんな、子どもの頃があったんだな。今では立派に歩いてるけど、よちよち歩いてた時があったんだな。」
そう思うと、いつもは息苦しくて仕方がない満員電車がちょっとだけ許せた。