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すべて忘れてしまうけど

「すべて忘れてしまうから」

という燃え殻さんの本を読んでる途中。その中で「俺、もう16だからタバコやめるわ」の章で思い出したことがあった。
中学生の頃、家(団地)が近いこともあって帰りがいつも一緒になるちょっと不良の女子と仲良くなった。話してる分にはふつーの女の子で私は"むら"と読んでいた。(名前が村下か村上か村本か全然忘れたが村という字が入った名前だった)
ある時、むらと一緒に文具店に行ったら、むらが万引きのやり方を私に指南してくれた。実践もして見せてくれた。「はい、やってみて」と言われたけどどうしても出来なくて出来ないと言うと別に責められるわけでもなく「そっか」みたいに軽く流されてその場は済んだ。(警察には捕まらなかった)

万引きする悪い子だけど嫌いになれなかった。私としゃべるむらは普通の女の子だったから。他の子達といる時のむらは私の知らないむらでたぶんタバコも吸ってただろうし悪い事色々してたんだと思う(笑)

高校生になって離れ離れになって私も引っ越したりして自然に会わなくなった。
夏休みになって家の近くのレストランでバイトをすることになった。誰にもバイトのこと話してなかったのにむらが友達を連れて突然レストランに来てくれた。
「リンちゃんがバイトしてるって聞いたから来たよー」
知り合いが来ること自体想定してなかった私はすごくすごくうれしくてカニコロバーグ、スープ付きセットのスープを山盛りに注いであげた。(高校生のサービスの限界。ちなみに注文はカニクリームコロッケとハンバーグのセット)

不良だったけど心根はどの子よりも優しく感じた。何故か燃え殻さんの本読んでて思い出してしまった。

すべて忘れてしまうかもしれないけどまたこうして思い出させてくれる本だなと思った。




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