矢沢あいの丸文字を真似ていたころの私へ。
手紙が出てきた。子供のころの自分からの手紙だ。
実家の荷物整理をした時に未開封のそれを見つけて、「何が書いてあるんだろー」とおもしろ半分に開けてみた。
8歳の自分から
全文公開ババーン。
8歳。小学2年生。
書いたことすら記憶にねえ。
20歳で読んだ記憶もねえ。
「こういう勉強なんです」の一文に、先生に書かされている感がすごい読み取れる。
すでに何回か変わっているらしい。
そしてその自分を受け入れているのか、はたまた諦めているのか、そんな雰囲気を醸し出している。
ちなみに29歳の今、私の職業はパン屋さんではない。
そんな約束も全く覚えてねえ。
母に聞いたけど、母も全く覚えてねえ。
ちなみに29歳の今、結婚もせず実家に出戻ってきている。
今のツレと結婚するかどうかはどっちでもいいけど(『ツレは27歳年上で。』参照)、田舎でやりたいこともあるし、私は結婚しても生活の拠点を実家から変えないんじゃなかろうか。つまり別居婚。
8歳の私はなかなかどうして、先見の明をお持ちらしい。
15歳の自分から
中学3年生のころにも、授業で未来の自分への手紙を書いていたようである。
長かったので一部公開ババーン。
まず文字のクセがすごい。これは完全に当時読んでいた矢沢あい漫画の影響を色濃く受けている。この文字を真似るのと自分のブランドロゴを作るのはご近所・パラキスファンあるあるだと思っている。
めっちゃ冒頭から怒られとりますやん。
ちょっと待ってよ、今はそんなにふてくされてないよ。
ちゃんと自分の言葉で自分の気持ちを伝える練習をしたから、表情だけで相手にSOSを出すことはもうやめたんだよ。
なんで基本的に上から目線なんだ。年上へのリスペクトはどうした。
そんなに迷惑かけたのかなあ。
歳取ったから「迷惑かけてる」とか感じなくなる程度には、図太くなったのかもしれないなあ。
「変なプライド」って多分このときは何のことを指してたのか思い出せないけど、安心してくれ。色んな人のおかげで色んなhave toが剥がれて、もはや気楽すぎて困っちまう。
大丈夫よ、もっと他にも取り柄はあるわよ私。
でも、このときは「怠けること」と「肩の力を抜くこと」の違いが分かってなかったよね。
あとはガーッと集中して努力する自分を安心材料にするのも良いけど、成果を出すためにどうしたらいいかって部分に、もっと目を向けてあげてね。
昔から冷めてて「がむしゃらに何か熱中する人」が羨ましかったんだよね。
スッキリするまで、つまり自分が納得のいくまで頑張るのは賛成。
でも「つらい」と思った時に取る選択肢は、努力すること以外にも、今はもっと増えたよ。
沢山の人が、あなたを支えてくれていたことを忘れないでね。
うははは、言いやがる。
今は「できないことをできるようにする」までのプロセスが昔よりちょっと効率的になったから、
当時書いた「がむしゃら」の中身もちょっと変わったかもしれない。
でもありがとう、ちゃんとがんばるね。
なーんて、あーあ。
もしも過去に戻れたら、当時の自分をぎゅっと抱きしめて、それから色んな話を聞くのに。
色んなモノやコトに対して、どう感じるの?何を考えるの?
何でそう思ったの?あなたはどういう人間なの?
今の私が「こうだったよね」ってラベリングした言葉じゃなくて、その時のあなたがどんな言葉を使うのか、もっと知りたかったよ。
noteを始めるまで「書くこと」をしてこなかった私は、今それを知る手段が、この手紙くらいしかないことに気付いてしまった。
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たくさん失敗もして、恥もかいて、色んな人と関わることを通じて、新しい自分と出会ったり、自分のことを知っていった。
思い込みが変わった瞬間はその都度あったけど、「あれが思い込みだったんだ」と気付くのは、案外こういう方法でもいいのかもしれない。
年齢の節目に、自分のためだけに向けた、思いやりと、リアルを込めた手紙。
とりあえず今が29歳。
便箋を開いたら、40歳の私に、今の私の何を教えてあげようかな。