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直木賞受賞した10分後には、次の小説を書いていた #今村翔吾さん

直木賞受賞の記者会見を終えたその足で、今村翔吾さんが「KIDS DOOR オンラインラーニング」というトークイベントにゲストとして登壇してくださった。
視聴していた感想は結論、やっぱり「すぐ動く・続けるって大事」ってこと。
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「翔吾くんだって夢叶えてないじゃん」

母が「こういうのあるみたいよ」と言って紹介してくれたのが、今回のイベントだった。トークテーマは「言葉の力」。

姉から、京都の「今村組」というよさこいチーム代表者の息子さんだと聞いていた。本人も数百名在籍するダンス教室のインストラクターを6年勤めたのちに、小説家デビューを果たしたという経歴。

今村さんはインストラクターのころから「将来小説家になる」「直木賞を獲る」と言い続けていたらしいのだけど、
ある女の子に夢についてアドバイスを伝えた時、「翔吾くんだって夢叶えてないじゃん」という盛大なカウンターを浴びたことをきっかけに一念発起、初めての小説を書き上げたという。

ダンスインストラクターの仕事を辞めたのが30歳。それまで、意外にも今村さんは小説を一行も書いたことがなかったらしい。



なんだこの関西弁のめっちゃ面白いおじさんは。

今村さんのことを良く知りもしないのに(本当ごめんなさい)、無料だというだけでイベントに参加してしまった私の最初の感想がこれだった。

ちょうど今原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を読んでいたところだったから、なんとなくその話し方に注目してしまったのだけど、

約45分間、彼は一人でずーーーーーっと喋り続けていた。
進行の人の合いの手もなし。
その間、間延びするでも飽きさせるでもなく、彼の小説家になった背景であるストーリーを語っていく。

シンプルにすごい。
そして描写の細かさや、聞いている側に「絵」が浮かぶ様子は、まさしくプレゼン上手な人のそれだった。


今村さんのお話の中で特に印象的だったのが、

「直木賞受賞を聞いたとき、元いたダンス教室の子供達に良い報告ができることを思って大号泣し、そのわずか10分後には、別の作品を書いていた」という話。

「自分はまだここで満足しちゃいけない、と思った」と言っていた。

私はぼんやり、美空ひばりがコンサート終了後にすぐ歌の練習をしていたり、マイケル・ジャクソンがライブ終了後にダンスの細かな動きの確認をしていた、という話を思い出した。
この人も、「当たり前に貪欲」な人だ。


今村さんは2022年の一年間だけで、9冊の新作を発表予定らしい。驚きの創作スピードである。

でも、その根源には、自分のためではなく、子供達のため。
夢の「暗い部分」を知っている自分だからこそ、子供達に「夢は叶う」と明るい部分を伝え続けたいという意志があった。

「だって夢が叶わないことを知ってるのは、挑戦したことがある人だけだから。あえて僕は夢は叶うと言い続けたい。」



今すぐ書け、めげずに書き続けろ

イベント終了間際、ある高校生がチャットで質問をしていた。

「小説家になりたいのですが、どうすればなれるのでしょうか」
読むや否や、彼はすぐに、
「今すぐ書いてください。このイベント終わり次第書き始めてください」と言い放った。

「僕ももしその女の子の言葉がなかったら、37歳の今でも『40代になったら書こう』、40歳になったらなったで『50代になったら書こう』とか考えていたかもしれません。
今書かなきゃ、多分ずっと書きません。
そして、書き続けることです。
最初は下手だと思います。下手で当たり前なんです。書き続けていれば、ある日突然上手くなることだってあるし、技術的なことも後から付いてきます。とにかく今すぐ書いてください。

書けたら、新人賞に応募してください。新人賞を取るくらいじゃないとこの先小説で食べていけないと思います。でも、一回の新人賞でダメだったからと言って、決してあきらめないでください。

くじけずに応募し続けてください。最後に勝てさえすればそれは勝ちなので。」


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すぐ書き始める、そして書き続ける。
noteの中でも何名の方か同じことを仰っていた。その背景は様々あるけど、つまるところ、ここに行き着くのだ。

改めて参加して良かったなあ、と思った。
今村さんは、とてもアツくて、まっすぐで、とても義理人情に溢れた人だった。

今後は全都道府県を横断しながら、依頼があれば小学校や各書店で、無料で講演会やトークイベントをする予定だと言っていた。

「希望があればぜひご連絡ください。俺、こういう約束は必ず守るので。」

ダンス教室の子供たちとの「直木賞を獲る」という約束を守った今村さんだからこそ、とても説得力のある、力強い言葉だと思った。




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