『星美くんのプロデュース』連作SS「心寧をキラキラSNS女子にしよう作戦(10/10)」
十話『SNSダルい』
『心寧をキラキラSNS女子にしよう作戦』で映える写真を撮って回った翌週の教室で。
「おはよー心寧。どう、SNSの調子は?」
「ぁ、…………した」
「え?」
「……や、やめました」
「なんで!?」
なぜか振り出しに戻るだけでは飽き足らず逆走までしていた。
「もしかして、この間撮った写真、ホントは気に入らなかった?」
思い返せば場所や店のチョイスは僕がしたものだし、ホントに心寧が撮りたい写真は違うものだったかもしれない。
「い、いえ、そういうわけじゃ……」
が、心寧はふるふると首を横に振った。
「星美くんと撮った写真、投稿したらそこそこいいねも付きましたし、それは良かったんですけど、ただコメントで『可愛い写真ですね。これからも楽しみにしてます』みたいなことを言われて……そこでわたし、思ったんです……」
こくっ、と喉を上下させ、心寧は重々しく言う。
「果たしてわたしは、『これからも』こんな風に投稿を続けることができるのかな、って……。毎回星美くんに映えるお店とかに連れて行ってもらうわけにもいかないですし、そうなると一人で映える写真を撮るための努力をしなきゃ、って考えて――」
「……考えて?」
「――多分、そんな頑張れないなぁ、ってなって……」
ふ、とアンニュイな感じで遠い目をする心寧。いやそこは頑張れよ。
「あと普通にちょっとダルいな……SNS続けるの……、って思いました」
「身も蓋もないことを言っちゃったね!?」
もはや性格が致命的にSNSに向いていなかった。
「はぁ、……ってことは結局この間の写真撮ったのも無駄だったってことかー」
「あ、それなんですけど、……ら、ラインのアルバム、作りませんか? わたしたち二人の」
スマホで口許を隠しながら、心寧は恥ずかしそうに目を泳がせる。
「そ、そうすればこの前撮った写真も無駄じゃないですし、――それにわたし、どこの誰とも知らない人とSNSで繋がらなくても、近くの人と繋がっていられるって思えれば、それで十分だな、って……!」
はにかむようにそう言った心寧に、僕はアルバムの作り方を教えることにした。