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『星美くんのプロデュース』連作SS「心寧をキラキラSNS女子にしよう作戦(4/10)」


四話『原宿・mypig cafe』


「心寧は動物は好き?」
「え、どうでしょう……実際に飼うとなると色々不安なのでなんとも言えないですけど、ただ無責任に見てる分にはそれなりに好き、かも……?」
「普通に『好き』だけでいいのに……」
「あ、今わたしのこと面倒くさい奴って思いました……!?」

 想定よりも重い返事に若干げんなりしていると、心寧は敏感にその気配を察知して文句を言った。自分が悪く思われることに対しては動物並みの嗅覚を発揮するな、この子……。

「あー、なんでそんなことを聞いたのかっていうと、これから行くのが動物カフェだから!」

 強引に話を元に戻し、ボクは前方のレンガの外観の建物を指差す。

「さて、ここではどんな動物と触れ合えるでしょうか?」


「――ぶ、ぶ、ブタですっ……! しかもなんかちっちゃい……可愛い……!」

 トコトコと足許に駆け寄ってきたマイクロブタを見て、心寧は「ふぁぁ」と気の抜けた嘆息をする。

「ここ『mypig cafe』は日本初のマイクロブタと触れ合えるカフェなんだって。……心寧? あれ、聞いてる?」
「ぁぁぁぁ、めっちゃ膝の上に乗ってきます……!」
「聞いてないね」

 座り込んだ膝の上にマイクロブタを乗せ、既に一人で楽しんでいた。

「どどど、どうすればいいんですか、これ……!?」
 違う、ブタの急接近にパニックになってるだけだった。余裕なさ過ぎだろ。

「こうやって撫でてあげればいいんじゃない?」

 ボクの方にも寄ってきた子を撫でてみせるも、

「ででで、でも急に触ったりなんかしたら怒らせちゃったりするかも……」

 心寧はなぜか両手を上に上げたまま硬直している。なんで降参してるの?

「……心寧って、もしかして人間以外にもコミュ障発揮するの?」
「なっ、ぶ、ブタだって同じ生き物ですけど!? それなのに人間と区別するとか良くないじゃないですか!? 命は平等ですっ!」

 パニックのあまりいつもより強気に主張する心寧。なんかいい風に言ってるけど、要するにブタ相手に人見知りというかブタ見知りをしているだけである。

「……心寧のコミュ力ってブタ以下なんだね!」
「笑顔でなんてこと言うんですかぁ!?」

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