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曇りのない新雪の上に、真新しい血が花のように散った。 それが自身の口から吐かれたもの…
――深夜2時、カヅキは月明かりの元、自身の胸元から取り出したものを見ていた。 それは月を…
細長い獣道をララはこつこつと靴音を立てながら歩いていた。 バッグの中の蜂蜜が重い。け…
そこに立っているのは一見すると痩せ細った全裸の男性だった。 しかしその表情は険しく皺…
はっきり油断していた、と断言しよう。 まずカヅキは慌てて何を思ったのか真っ先にカーテ…
「ミヤマさーん、無理しなくていーですよ-」 「いや、これは何事も挑戦だから」 彼はそう…
「里を襲われたんだ」と彼は言った。 「あそこに見える雪山があるだろう。あそこの中腹にある里に俺達一族は住んでいたんだ」 「トウキ山に?」 あんな険しい山に人が住んでいるなんて驚きだ。その反応が珍しいものではなかったんだろう、彼は苦笑した。 「ヒシ族という一族があそこには昔から住んでいるんだよ。俺も当然、そのヒシ族だ。槍の扱いに長けた一族でね。武芸に秀でた者はだいたい護衛やら退治士などで外に出稼ぎに行くんだ」 意外に穏やかで住みやすい所なんだよ、と彼は告げる。いかに
甘ったるい蜂蜜とミルクの香りが部屋に満ちる。マグカップから立つ湯気を見つめながら、カヅ…