ふわふわ折り紙 #秋ピリカ応募
あかりは、おばあちゃんの膝の上で座り、色とりどりの折り紙をじっと見つめていた。この折り紙は、ただの紙ではない。ふわふわと柔らかく、まるで雲のよう。触ると気持ちがよくて、いつまでも撫でていたくなる。
「おばあちゃん、この紙は何でできてるの?」
あかりの質問に、おばあちゃんは優しい笑顔で答えた。
「これはね、あかりが大好きな雲みたいな紙なの。ふわふわして気持ちいいでしょ?」
「うん!」
あかりは、嬉しそうに頷いた。
今日は、このふわふわの紙で紙風船を作るのだ。おばあちゃんは、あかりの手を優しく包み込みながら、紙を丸めていく。あかりも一生懸命、小さな手で紙を触る。
「あかりもやりたい!」
あかりは、自分で紙を折ろうとするが、まだうまくできない。
おばあちゃんは、あかりの手を少しだけ手伝ってくれる。
「ほら、できたね」
おばあちゃんは、あかりが作った紙風船をそっと手に取った。
少し形が歪んでいるけれど、あかりにとっては宝物だ。
二人で作った紙風船を、そっと窓の外に放り出した。
ふわふわの紙風船は、風に乗って、空高く舞い上がっていく。
あかりは、キラキラした目でそれを追いかけた。
「おばあちゃん、紙風船はどこへ行くの?」
「さあね、きっと空の上で、他のふわふわの紙風船と遊んでいるんじゃない?」
おばあちゃんの言葉に、あかりは想像力を膨らませた。
自分の作った紙風船が、空の上でふわふわと漂いながら、たくさんの友だちと楽しそうに遊んでいる姿を。
その夜、あかりは夢を見た。
たくさんのふわふわの紙風船が、夜空を彩り、あかりを優しく包み込む。
あかりは紙風船に乗って、どこまでもどこまでも飛んでいった。
翌朝、あかりは起きた。
窓の外には、昨日の紙風船も、おばあちゃんの姿もなかったけれど、あかりの心の中には、温かい思い出が、ずっと輝いていた。
ふわふわの紙風船は、あかりにとって、ただの遊び道具ではなく、おばあちゃんとの大切な思い出になった。
これからも紙風船はあかりの心に、ふわふわの幸せを運んでくれるだろう。
(833字)
#秋ピリカ応募