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『架け橋でありたい』#2000字のドラマ
大学で出会ったふたりの友人について話します。
とっても尊敬できるふたりなのですが、とっても対照的。
とっても社交的で、常に忙しくしていて、活動的なMちゃん。
とっても女性らしくて、常に余裕を持っているYちゃん。
Mちゃんは教師になるという夢に向かって努力していて、色々なことにチャレンジしているし、止まったら死んでしまうマグロのようで、常に予定がパンパンでした。
そんなMちゃんと話すと、自分も頑張らなきゃと刺激され、前向きになれるのです。
とにかくがむしゃらに頑張って、夢中で前ばかり見ていた私に、振り返ることの大切さを教えてくれたのは、Yちゃんでした。
Yちゃんほど自己分析に造詣が深い人を私は知りません。
そう、『自分』というものを私はよくわかっていませんでした。
自分が好きなもの、嫌いなもの、得意なこと、苦手なこと、ストレスを感じたり、癒されるものなど、深く考えたことがなかったのかもしれません。
Yちゃん曰く、自分にはキャパがあって、その限界を超えないように調整しているそうです。
付き合える友人も、自分の範囲は他人より狭いからと。
Yちゃんは境界線がはっきりしていましたが、懐に入れた人にはとても優しく温かな子でした。
私はそれまで女らしさとは狡さであって、女性らしいというもの苦手でしたが、Yちゃんのような女性らしさって素敵だなと初めて感じました。
3人で夜のファミレスで課題をやったり、恋の悩み相談をしたり、徹夜で話し込むこともありました。
夢に向かって一直線のMちゃん。
一歩引いて達観しているYちゃん。
そんなふたりは、私の自慢の友だちでしたし、これから先もずっと付き合っていくのだろうなと漠然と思っていました。
実際、大学を卒業してからも連絡をとっています。
ところが、Mちゃんのメールの返信の歯切れが悪くなり、Yちゃん抜きでなら私とは会いたいというのです。
疑問に思いつつも、とりあえずMちゃんと2人で会うことにしました。
相変わらず忙しくしてるMちゃんは、小学校教師なるという夢を叶え、更なる高みを目指して努力している様子です。
変わらないMちゃんですが、Yちゃんと会いたがらない理由を話してくれました。
この前にMちゃんが彼氏さんの和太鼓ライブがあると誘ってくれた時のことです。
私とYちゃんは、初めてMちゃんの彼氏さんに会うので、ワクワクもありつつドキドキでした。
彼氏さんは、明るい方で、よく話してくれてる方だったので、Mちゃんにお似合いだなぁと私はぼんやり思いました。
その後、YちゃんがMちゃんに個人的メールをしたらしいのです。
Mちゃんが言うには、Yちゃんのメールは、あの時、Mちゃんがホスト役としてサポートすべきで、彼氏さんに任せすぎは良くないとの内容だったとのこと。
おお、なるほど、古風なYちゃんらしい意見でした。
言われてみれば、彼氏さんに気を遣わせ過ぎたのかもしれません。
そんな指摘にMちゃんは、どうして言われなければならないのかと感じ、Yちゃんとは距離を置きたいというのです。
ん~なるほど。
私は、もう3人で集まれない寂しさに包まれましたが、ふたりのうちどちらとも決別したくありません。
私は、自分がひどく中途半端なような気持ちになりました。
Mちゃんほど、たくさんの人と関係を築けないし、
Yちゃんほど深く人と関わることが出来ません。
結局のところ、MちゃんともYちゃんとも別々に関係を続けています。
なんだか宙ぶらりんです。
お互いの近況を話したり、これからのことを相談したり。
でも、あの日々にはもどれません。
私の結婚式で、ふたりを再会させるという構想もありましたが、あのウィルスせいで潰えてしまいました。
どんどん変わる生活。
ふたりはどう過ごしているのでしょう。
私はどうしたら良いのでしょう。
中途半端な自分を受け入れられたのは、高校時代の友人、Rちゃんの言葉があったからでした。
Rちゃんはとても個性的で魅力的、面白い友人でしたが、遅刻常習犯でもありました。
ちょっと変わっている彼女は、もう私以外の高校の友人とは連絡をとっていないとのこと。
とりあえず、私と繋がっていれば、他の子とも繋がっている気持ちでいられるのだそうです。
『凛ちゃんのおかげで、つながってる気がする』
宙ぶらりんな私でも、みんなの架け橋にはなれるのではないでしょうか。
そんな気持ちになり、関係を繋いでゆく、それだけも良いと思えるようになりました。
関係を繋ぐこと、それが今の私に出来ることなのです。
誕生日にメッセージを送ったり、たまにオンラインでおしゃべりしたり、そんな当たり前の日常を大切にしていきます。
いつかきっと、架け橋を渡れる時が来るのではないでしょうか。
あとがき
#2000字のドラマ 、若者の日常、3人の登場人物ということだったので、大学時代の友人ふたりを思い浮かべました。
私と友人ふたりの登場人物設定でしたが、新たな友人Rちゃんも登場せざるおえない物語に。
全然ドラマチックにはなりませんでしたが、私の日常らしいストーリーです。
もう若者の部類に入れて良いのかは疑問ですが…
読んで頂き、ありがとうございます❤
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