セルフ ディフェンス
ずいぶん前の話だが、コミュニティで無料開催されていたセルフディフェンス(護衛術)のレッスンを受けた。
物理学の大学教授が講師をしていて、それこそ身体物理的な理論を元にいくつかのヒントを教えてくれた。
驚いたことに参加者の半分ほどは男性。
みな、それぞれの理由で参加していた。
それに、男性だからといって被害に遭わないとは限らないので。
以下、学んだ内容
統計上(カナダ)、半分以上の人が生涯のある時点で暴力被害にあっている。
女性は男性から、男性は見ず知らずの男性から加害されることが多い。
被害にあった際、3分の1はフリーズ(固まってしまう、何もできない)、3分の1は声を出す、3分の1が自己防衛ができる
自己防衛まではできなくても声を出して抵抗する事ができるだけでも効果的(加害者が攻撃をやめて逃げ出す)
つまり、3分の2(66%)の確率で被害から逃れるチャンスがある(という統計学的データがある)
抵抗をした事で状況が悪化するという統計学的な根拠は示されていない
また、カナダにおける自己防衛の法律上の注意点も教えてくれた。
セルフディフェンスはあくまで「自己防衛」、その行為が自分の身を守るための防衛である、ということがポイントになる。
先生の例をとりあげると、盗まれた物を取り返すために自ら加害者の方へ向かう、攻撃をする、ということは自己防衛に当たらない。
危険から「離れる」、そのチャンスをつくるための防衛行為であるということが前提。そのため、過剰防衛は「攻撃」「加害」とみなされることがあるので注意しなければならないそう。
自己防衛の線引きってすごく難しい。
ただ、先生いわく、法律では被害者の心理状況にも言及してある、と。
加害者の行動によって、みずからの身に「危険」が及ぶとおもい、「怖かった」ということを聴取の際にきちんと述べること。
その点は考慮されるべきポイントなのだそう。
なにより大切なのは、その危機的状況から逃れるための一瞬の隙をつくること。
一度目の防衛がうまくいかなくても、二度目、三度目、逃げるチャンスができるまで何度もやってみる。一瞬の隙ができたら、即時にその場から離れ、助けを求める。
そしてもうひとつ。
どうしてそこへいったの?
なぜひとりで歩いていたの。
どんな服をきていた?
あなたにも隙があったんじゃないの。
特に性被害の場面において、悲しいことに、これらは被害にあった当事者によくむけられる言葉。
そしてこれらの言葉が暴力であると認識している人たちは非常に少ない。
このように、被害者側に非があるかのように責める言葉など、性被害者が二次的な被害に遭うことを「セカンドレイプ」と言う。
性被害にかぎらず、暴力の被害と加害の関係性の中で、被害の対象となることが自己責任のように語られることは珍しいことではない。
しかしながら、その人の人種や見た目、服装、どんな要素も暴力が肯定されるものにはなり得ない。
力関係というものは、必ずしも物理的、身体的なものではないのだ。男ならば抵抗できただろう、という根拠のない憶測や決めつけももってのほか。
あなたに起きたことは、本来おきるべきではないことだった。こんな苦しみを経験すべきではなかった。あなたに、非はない。
この言葉をはっきりと伝えられることの大切さを、心に留めておきたい。
言語の壁があるなかで生活をする文化的マイノリティ(Cultural Minority)、可視的マイノリティ(Visible Minority)であるわたしたちにとっては、なにごとにおいても圧倒的な壁と支援の乏しさへの不安・怖さがある。
こういったコミュニティイベントがあることが、すこしでも多くの方に届くといいなと。
リソースについても、いま思いつく限りの情報をのせておこうとおもう。
(新しく情報がはいれば都度アップデートしていきます)
多言語対応があるかは不明ですが、英語以外の言語が話せるサポートワーカーを募集している団体も多いので、その点も含めて問い合わせをするといいかと思います。
Salal:性被害支援センターとして名の知れた団体のひとつかと。24時間の緊急相談コール、チャット対応、病院・警察・裁判所への付き添い支援あり。被害者支援において非常に訓練されたボランティア、スタッフメンバーが対応。最もクィアコンピテント(ジェンダーアイデンティティやセクシュアリティに関する理解をもって対応できる)被害者支援団体だとわたしの団体も認識しています。
YWCAJapanese Outreach Program :家庭内暴力やパートナーからの暴力被害に遭っている日本人女性をサポートするプログラム。
VLMFSS:家庭内暴力にあっている移民、難民、可視的マイノリティ、移民ステータスにある女性・子供たちの支援団体。
Family Services of Greater Vancouver:家族支援、若者支援、被害者支援、トラウマカウンセリングなど幅広くプログラムをもっている団体。それぞれのエリアの警察署内に被害者支援センターの部署があったりもするため、エリア的なカバーも広い。
どうか、だれにも、この情報が必要になることがないようにと、心から願う。
それでも、どこかで必要になる人がいたとしたら、届いてほしい。
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