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Rin
2024年12月26日 22:30
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。「お邪魔します〜」結局、二人きりでなければいいという条件を付け我が家に来てもらうことにした。その我が家だが、どこにも誇るところがないありふれた普通のマンションである。「壮馬の家、久しぶりに来たかも」「葵、来たことあるの?」「うん。だって私たち小さい頃からの幼馴染だからよく遊びに来てたんだよね」「ねぇ、写真撮ってもい
2024年12月5日 18:16
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。放課後の誰もいない教室で昨日と同じくぼんやり読書をしていると昨日と同じ唐突さで葵が現れた。「あ、私の彼氏くんみっけ!」幼馴染の関係からまだ慣れない恋人の関係になってからなんだか不思議な気持ちになる。「それって僕はなんて返せばいいの?」葵は苦笑いをしながら考え込んだ。「やぁマイハニー、とか?」「映画の見過ぎ」「
2024年11月16日 20:39
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。付き合う取り決めを交わした僕と葵は放課後の教室で色んな事を話していた。「それじゃ早速だけど、壮馬のこと聞いてもいい?」「幼馴染なのに僕に聞くことなんてある?」僕は笑いながら葵に言った。「あるよ〜誕生日とか血液型とか」「好きな物とかは教えられるけど、流石に誕生日と血液型知ってるよね?」「知ってるけど、改めて壮馬の
2024年11月15日 23:17
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。誰もいない放課後の教室。僕は葵との約束の時間まで自分の席で読書をしていた。教室の外からは吹奏楽部の楽器を鳴らす音や運動部の準備運動をする声が聞こえてくる。その孤独と連帯の合いの子のような空気感は嫌いじゃなかった。青い空は、寂寥じみた音楽に似たものを無人の教室へと運んでくる。どれだけそうやって過ごした頃だろう。廊下から聞
2024年11月2日 20:18
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。翌朝、僕は登校途中に空を見上げた。五月の空は高く、青い。もう少しで終わってしまうが、僕は五月が好きだった。それは昔、姉から五月病を嘘の意味で教わっていたことが関係していると思う。桜も散り、四月の忙しない時期を過ぎると人が落ち着ける季節になる。若葉を眺めたりして時間を過ごせるようになり、皆んなが少しのんびり屋さんになる。それが
2024年10月31日 18:49
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。僕は自分を驚かせることなく、その生涯を送るものだと信じていた。自分らしくないとか自分が信じられないとか、行動した後にそんな感想を持って驚くことなんてないと思っていた。だけど、その日の放課後、自分自身に驚くことになる。新しい学年になり1ヶ月が経った。幼馴染の葵とは今年もクラスが別れてしまった。新しいクラスになじみ始めた頃
2024年10月30日 18:20
一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。もしも原作の2人が幼馴染だったら……[私は高校2年生のGW初日に事故に遭いました。一週間が経つと前週の記憶をすべて失います・・・]葵は眉をひそめた。[この日記は、毎週欠落する記憶を補うためつけることにしました]日記は2021年5月5日から始まっていた。葵は最新の日記までスクロールし、手を止める。スマホの画面で日記を