次の約束をする男。
39歳、男。
マッチングアプリで知り合った。
プロフの写真は爽やかで、好感が持てる印象だった。
少しのやり取りで「会いましょう」ということになったが
お互いの仕事で会う機会は先送りになっていた。
会うタイミングが何度もすれ違ってしまうと
その後のやり取りはフェイドアウトしてしまうが、彼は違った。
それでも懲りずに誘ってくれる気持ちが嬉しかった。
会うタイミングは突然やってきた。
「今日なら、夜空いてますが急ですよね?」
メッセージを受信して通知がくる設定にしていないので
たまたまアプリを開いてメッセージを確認したのが13時頃。
正直、家から出る予定はなかったので、80%くらいな気持ちで
「えー今日?」とマイナスな感じだった。
それでも、少しだけ考えて、重い腰を上げて「会う」約束をした。
渋谷での待ち合わせ。真夏。
夕方といえど暑さが厳しくて、室内での待ち合わせにした。
初めましての時って、周りに人がいない方が嬉しいのは私だけ?
人がウヨウヨいる中で、顔もはっきりわからない人と会うのは
難易度高いゲームだ。
少しだけ人通りの少ない場所まで誘導させて、初めましてのご対面。
優しそうな顔をした人だった。(写真と同じだったw)
軽くご飯でもってことで、お店に入る。
注文は彼が進めてくれた。食べられない物を確認されて
適当にチョイスしてくれる。居心地は悪くない。
お酒が届いて乾杯。
少しだけお互いの話をして、たわいもない話もして
あっという間に時間は過ぎていった。
彼もだが、私も甘いものが好きなので最後にデザートを注文する。
1つをシェアする形で、パフェを注文。
しかし、お腹もいっぱいで早々にシェアをリタイア。
パフェを真ん中に、その後もたわいもない話で盛り上がる。
すると、彼が掬ったパフェを私に向ける。
「食べない?」の顔。
私はそのパフェを口の中に含む。目を見て微笑む。
満足そうな彼の顔がある。
『こういうの好きな人なんだなー』と思う。
その後、何回か彼から食べさせてもらったりした。
(正直こういうのは恥ずかしい…)
パフェも食べ終わり、そろそろ…な時間。
お会計を済ましてお店を出る。
私も、彼も少し離れがたかったので、渋谷の街を散歩する。
彼が手を繋いでくる。
人前でのスキンシップは苦手だ。
手を繋ぐのだって、私の中でハードルが高い。
ましてや知り合いがいるであろう街だし尚更だ。
人混みも苦手なので、人通りの少ない道を入っていく。
彼は私の手をにぎにぎしたり、さすさすしたりしている。
私はどうしていいか分からずに、握られたままでいる。
きっと「気に入ってもらっているであろう」好意は嬉しいが
人前での甘い雰囲気や、恋人の雰囲気は苦手で
友達感を全面に出してしまう。
友達同士でふざけ合っている感。
「恋人」という立ち位置に慣れていないこと、
そういう経験がほとんどないので振る舞いがわからないのだ。
いや、振る舞いがわからないのではなく、恥ずかしいのだ。
「自分が…」と思ってしまう。
暑さを凌ぐために建物内で待合せして、食事したのに
夜の散歩で汗だくになってしまった。
それさえも楽しく、ゲラゲラ笑って散歩していた。
だいぶ渋谷の街も回って、そろそろお別れの時間。
ここで彼からLINE交換を打診される。
快くOKして、LINEの交換。
なぜか、彼の路線まで私がお見送り。
最後に彼がハグしてこようとしたが、さすがにごめんなさい。
軽く拒否して(笑)笑顔でお見送り。
お礼のLINEを送ると、すぐに返信が来た。
返信内容から楽しかった感が満載だ。
次も会いたいと書いてくれている。
私も楽しかったし、そのお誘いはとても嬉しかった。
次の会う約束は幸せな気持ちになるよね。