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【エッセイ】履歴書に書けない特技「ひとりで生きる達人」
私には「うちの旦那」や「うちの子」という言葉は存在しない。
人生で使わない言葉のリストの最上位に位置する。
きっとこの先も使うことはないだろう。
ママ友の井戸端会議やお受験戦争
PTAの煩わしい役員会議。
そして「今日の夕飯、どうしよう」という永遠の課題。
これらはすべて
私の人生には無縁の世界。
代わりに私が手に入れたのは贅沢な「ひとり時間」
いや…それはもはや特別な時間ですらない。
なぜなら、すべての時間が私だけのものだから。
週に一度の洗濯でさえ
たった一人分の衣類は山にはならない。
22歳でスタートしたひとり暮らしは
気がつけば20年の歳月を重ねていた。
私は今や自他共に認める
「おひとり様のプロフェッショナル」だ。
特別な肩書こそないものの
どんな困難も乗り越えてきた実績は自信となっている。
孤独を恐れるどころか
むしろ一人であることの心地よさを知り尽くした底力がある。
こんなに豊かな経験と独自のスキルを持ち合わせていても
残念ながら履歴書には書けない。
学歴や資格の欄こそあれど
「一人で生きる達人」という項目はないのだから。