新しいウイルスとは何か

寄生虫は、宿主に害をなるべく与えないよう配慮しながら、徐々に宿主を自分の家と化していく。DIYだ。

寄生虫が宿主を致命傷に陥れるのは矛盾している。なぜなら、宿主の死は、寄生虫の死だからだ。

ただし、宿主が死ぬ時もある。この時は、寄生虫と宿主の相性が悪かった時だ。マッチングアプリで出会ってみたものの全然違う人じゃん現象と同じである。

ウイルスも寄生虫と同じく、なるべく人間に害を与えないようにして、自分と子孫の保全を図る。人間は適当に予防して、適当に治癒して、普段と変わらない生活を送る。

どうやら我々人間のゲノム情報のほとんどは、外からきたものらしい。そしてそのほとんどがまた、ウイルスである。
お腹の中にいる赤ちゃんが栄養を取れずに死んでいくなんてことがないように、羊水を与える機能がお母さんには備わっているのだが、この機能もウイルスのおかげであるという話を聞いたことがある。僕の記憶だ、あてにならない。


こう考えると、新しいウイルスとはなんであろうか。
それは、人間集団のなかに溶け込むまでの過程にいるウイルスのことだ。

新型コロナウイルスはいつか新型ではなくなる。
Afterコロナなどありえない。人間とウイルスは、いつだってともに生きてきた、かけがえのない’友’なのだから。


参考著書:養老孟司「ヒトの壁」



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くにたけ りん
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