熟睡してる私を起こした人
電車に乗ってる時、ふと思い出すこと。
今から20年くらい前、小さな制作会社でデザイナーとして働いていた頃の話。
連日の終電コースで慢性的な睡眠不足の中、その日は休日出勤のため、いつもより遅い時間帯の電車に乗っていた。
泊まりの人がいるんだから家に帰れているだけでもありがたい。そんな思考回路のアホな働き方をしていた時代だったので、休日出勤してる自分にたいした疑問も持ってはいなかったのだが、とにかく眠いので移動中はいつも爆睡だった。
そんな私の肩を掴み、ゆっさゆっさと揺さぶる人がいた。
しばらく揺さぶられてたと思うが、疲れ果てた状態で熟睡しているため、頭が前後してる自分に何が起きたかよく分からないまま目が覚める。
起きた私の目に入ったのは、電車に乗った時と違って座っている自分の周りはたくさんの人が立っていて混雑している様子だった。
すると、私の肩を掴んでた方から男性の声が。
「すみませんが、席を譲ってください。」
へ?
「赤ちゃんが危ないので席を譲ってください。」
あ? あぁ、はい。
ボーッとした状態で言われるまま席を立ち、その男性に少し離れた所から呼ばれた赤ちゃんを抱いた女性と席を替わった。
その女性と入れ替わるようにその場に立ったのだけれど、そこにグイッと件の男性が割込んできて、私はギュウギュウの人混みの方に追いやられることに。
何なの?
という疑問は持ちつつも、赤ちゃんの側に付いていたいんだろうと少し離れたところから寝ぼけた目で見ていた。
が、だんだん頭がハッキリしてくると同時に何だか腹がたってきた。
何かそれ、違くない?
・周りには起きてる人もたくさんいる。
・自分と同じくらいの若い人も何人もいる。
・熟睡してた私を起こす必要あったの?
・席を譲るのは問題ないけど何故あなたと立ち位置を変わらなきゃいけないの?
睡眠不足→移動中の爆睡→邪魔された、という感じになってきた私の目に飛び込んできたのは、席を譲った女性が抱いている赤ちゃんを受け取り高い高いしている男性の姿。
電車は動いている。
危ないから席を譲ってくれって、言ったよね。それ、危ないんじゃないの??
赤ちゃんがぐずついてるわけでもなく、動いてる電車で高い高いをやり続ける男性に対して怒りは増しまし💢
『寝起きで機嫌が悪い』+『男性への怒り』で下車する駅までずーっとその男性を見てました。その時の私は目が座ってて、我ながら顔が怖かったと思いう。。。
その男性は、その時すでに結構離れたところにいた私が下車する際に『ありがとうございました』ってわざわざ言いにきてくれましたが、ろくに返事もしないで釈然としない気持ちのままその場を去った。
今思えば大人気なかったと思うものの、あの時の違和感は残っていて、混んだ電車に乗ると思い出してしまう。こんな些細な出来事なんて忘れてしまえばいいのに。
どうして忘れないのか?
私なりに考えてみると腹が立った根底には、自分をぞんざいに扱われたという一種の『悲しさ』のようなものがあったのだろうと思う。
記憶力が良い方で、よくそんなことまで覚えてるねって言われることもあるのだが、単に執念深いのか。。。
そんな私は今日も当時の私に思いを馳せながら電車に乗るのである。