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映画について、あれこれ
その昔、半年ほど映画館でバイトしたことがあった。
当時の時給は確か600円。一月働いてもシフト制で10万円ほど。
笑っちゃうね。
だけど映画がタダで見られるし、映画好きの友達もできて、バイトが休みの日まで物好きなことにミニシアター巡りをしたりして楽しかった。
大きな声じゃ言えないけど、映画好きが昂じて一時期脚本家を目指したこともある。
いつか定年退職したら、また映画館で働いてみたい。
時々アルバイト募集をしている近所の映画館に目をつけて、トイレ掃除ができるか真剣に悩んだりしていた。
そんなささやかな夢はどこへ…
という話は今回ちょっと置いておいて。
映画館の暗がりの中で2時間、ただひたすらに映画を観るって大いなる無駄のようにも思える。
大体そうやって観た中で、今でもちゃんと内容を覚えている映画なんてごくわずかだ。
それでも意外な時に、昔見た映画の中のワンシーンやセリフがふっと浮かび上がってきて、役に立ったりすることがある。
“人生はチョコレートの箱のようなもの。食べてみないと中に何が入っているか分からない。”
映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」の中で、名優トム・ハンクスのセリフ。
まあ正確にはこれを言ったのはフォレスト・ガンプのお母さんだけど。
今回の病気、多発性骨髄腫ももちろん辛いけど、10年前卵巣がんになった時の、今まで信じていた価値観がすべてガラガラと崩れ落ちてしまったようなショックは比じゃなかった。
今思うと抑うつ状態とかそんな感じだったのかなあ。
何を聞いても悲観的、カウンセリングも効果なし、いつか抗がん剤治療が終わって元気になる自分がどうしてもイメージできなかった。
毎朝トイレで30分ぐらい泣きの時間。
そんな中で、ふとこのセリフを思い出して、ちょっとだけ救われた気持ちになったのを覚えている。
どうという内容でもないけど。
なんだろう。人生をチョコレートに例えるユーモア、おしつけがましくない感じかなあ。
それをフォレスト・ガンプことトム・ハンクスが言うと、心に染みるわけなんですよ。
子供の頃、もらいものの高級チョコとかたまに食べると、箱をとっておいて、いつまでもチョコレートの香りを楽しんだりしたよね。
そう、人生はチョコレートボックス。
食べてみなければわからない。
私の箱にはにがーいチョコレートが入っていた。
そしてそれを食べた。
ところが苦いチョコレートはもう一個入ってた訳で。
私はそれを食べながら、これが最後の一個なんだろうか、それともまだチョコレートは残っているんだろうかと考えている。
最後までとっておいたとびきり美味しいの、とは言わなくても、まあまあ美味しい普通っぽいチョコレートが残ってたらいいなあ。
やっぱり映画っていいよなあ。
治療を受けて、元気になって、いつかまた映画館で働ける日が来るんだろうか。