社会科散策-論述(日本史12)摂関政治
〔摂政と関白〕
摂政と関白の違いを述べよ。
〔解答〕摂政は,天皇が幼少の期間にその政務を代行する官職であるのに対し,関白は,天皇の成人後に天皇を補佐し太政官を統轄する官職である。
(解説)
現在の日本国憲法上の摂政は,天皇が成年(18歳)に達しないとき,および心身の故障のため自らその権能を行なうことができないときに置かれる(皇室典範16条)。なお,現在,関白という機関は存在しない。
〔摂関政治〕
摂関時代(10世紀後半~11世紀中ごろ)の摂関家(藤原氏)の経済的基盤(収入源)について述べよ。
〔解答〕国家の役人としての収入がその基本的な収入源であったが,そのほかに,寄進された荘園からの年貢や受領(国司)からの奉仕があった。
(解説)
当時の摂関家の収入は役人としての収入が主で,荘園収入は副収入にすぎなかった。
〔参考〕類題(東大2010)
摂関期における中下級貴族と上級貴族との関係
奈良時代は官僚制が整備され,位階や官職に応じて給与が与えられた。
摂関期になると,国家財政の不安定から国司(受領)の責任の明確化とともに国司の権限が拡大(徴税・検察権)され,国司(受領)の収入が増大した。中下級貴族たちは,任免権をもつ上級貴族に家司や警護として仕えるなどの奉仕を行なって受領の地位を獲得し,地方での勢力を拡大していった。
〔参考〕類題(東大2001)
奈良時代と平安時代の中期で,調の課税の方式や,調が徴収されてから中央政府に納入されるまでのあり方にどのような違いがあったか。史料は略。
奈良時代は,成年男子(17歳以上)を対象に,一定の税率が課され,運脚により中央政府に納入された。
平安時代中期では,田地を対象に課され,課税率及び納入は国司(受領)に一任された。