社会科散策-論述(日本史08)律令制

〔律令制下の民衆の負担〕
 律令制下における民衆の負担(税制・兵役・身分制度)を簡潔に述べよ。
〔解答〕口分田の班給を受けた農民は,租・庸・調・雑徭・出挙などの重い税負担を負った。兵役は成年男子3~4人に1人の割で兵士が徴発され,諸国に配属された。一部は衛士(宮城警備)や防人(九州防衛)となった。身分制度は,良民と賤民に分けられ,賤民は五種類に分けられた(五色の賤=陵戸・官戸・公奴婢・家人・私奴婢)。

〔民衆の抵抗〕類題(お茶女附属平成18年度)
 律令国家において,口分田を与えられるとともにさまざまな税を負担させられた人々は政府に対してどのような抵抗をしたか,簡潔に答えよ。(40字)
〔解答例〕戸籍の所在地から浮浪あるいは逃亡したり,戸籍の性別や年齢を偽ったりした。(36字)
(解説)
 租は口分田にかけられた税で男女は問わないが,庸・調・雑徭は成年男子にかけられ重い税負担となっていた。そこで戸籍を偽ったのである。

〔参考〕律令制
①行政組織 二官八省(中央)・国郡里制(地方)
 国司は中央から派遣(任期6年→4年),郡司は旧国造ら在地豪族から任命(終身官)
②司法制度 八虐(8種類の重大犯罪)と五刑(笞・杖・徒・流・死)
班田収授の法(口分田の班給) 6歳以上の男女(良民・賤民)
*良民男子には2段(約2300㎡)女子にはその3分の2,奴婢には良民の男女のそれぞれ3分の1の口分田が与えられた。
④負担(税など)租・庸・調・雑徭・兵役(衛士・防人)・出挙(すいこ)
は田に課された税で稲の収穫量の約3%を国府(国司)に納めた。は労役の代わりに納めた布,調は地方の特産物でいずれも都に運んで納めた。雑徭は年間60日以下の国司の下での労役。出挙は政府が強制的に利子付きで稲を貸し出したもの。

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