社会科散策-論述(日本史05)飛鳥

〔冠位十二階の意義〕
 冠位十二階は,徳・仁・礼・信・義・智の6種を大小に分けて12階とし,色別の冠を授ける冠位制度である。これを定めた意義を簡単に述べよ。
〔解答〕氏姓制度の世襲制を改めるとともに,個人の才能に基づいた人材登用により天皇中心の官僚機構を構築しようとするものであった。
(解説)
 これまでの豪族(氏)に支えられた政治(豪族連合)から脱却し,強い天皇中心の政治(中央集権体制)に転換しようとしたと考えられる(氏族単位の王権組織から天皇中心の官僚組織へ再編成)。

〔聖徳太子の政治〕類題(お茶女附属平成17年度)
 聖徳太子はどのような目的を持って政治を行なったのか,説明しなさい。
〔解答〕天皇中心の強力な中央集権国家の実現を目的として,冠位十二階や十七条憲法を定めた。(40字)
(解説)
 なぜ冠位十二階や十七条の憲法を制定したのかが分かればおのずとその目的が知れる。両制度は,天皇中心の強力な中央集権国家の形成を支える有能な役人を養成するための制度である。

〔推古朝の外交〕
 推古朝の中国(隋)に対する外交姿勢を簡潔に述べよ。
〔解答〕倭の五王時代とは異なり,中国皇帝に臣属しない外交を行なった。
(解説)
 隋の臣下とならないことで,隋の臣下となっていた朝鮮諸国に対する倭の優位性を確立しようとしたと考えられる。

※遣隋使派遣の意義について述べよ。類題2009東大
〔解答〕隋が高句麗と対立するなか,中国皇帝に臣属しない立場を,天子・皇帝・天皇号を用いて明確にした。(天皇号=推古朝説からの解答)
(参考)「おそらく倭は,隋と高句麗との緊張関係を背景として,朝鮮諸国に対する立場を有利に導くために,隋に使者を派遣したのであろう。倭が隋から冊封を受けようとしなかったのも,そのことと関係があるように思われる」(大系日本の歴史③P33)

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