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【介護選び】災害時も生き続けるために〜淡路阪神大震災の振り返りから

本日は1月17日、阪神・淡路大震災からちょうど30年目にあたります。
この節目の日に、「災害時にも生き続ける介護」という視点から、これまでの経験や学びを振り返りたいと思います。


阪神・淡路大震災と私の転機
1995年1月17日、早朝5時46分、兵庫県南部を中心にマグニチュード7.3の大地震が発生しました。
この震災は、6,000人以上の命を奪い、多くの家屋やインフラが壊滅的な被害を受けました。当時、私は兵庫県宝塚市でユニット型老人ホームの建設プロジェクトに携わっていました。
建築確認申請も通り、着工を目前に控えていた矢先のことです。

しかし、震災による被害の大きさから、このプロジェクトは中断を余儀なくされました。
そして最終的には計画そのものが白紙に戻され、私はその後、この建設会社を退職する道を選びました。この出来事が、私の人生に大きな転機をもたらしました。

震災後、私は介護分野で独立する決意を固めました当時はまだ介護保険制度が施行される5年前であり、介護ビジネスという分野自体が確立されていない時代でした。しかし、災害という未曾有の事態を経験し、福祉や介護の持つ重要性を身をもって感じた私は、この分野で新たな挑戦をすることを決意しました。

被災者復興住宅プロジェクトでの学び
震災から5年後の2000年、私は再び兵庫県に呼ばれ、被災者復興住宅のプロジェクトに関わることになりました。この住宅は、震災で住まいを失った高齢者を中心に受け入れるものでした。規模は小さく、定員15名ほどの共同住宅でしたが、住民の方々と直接対話し、生活を支える仕事に携わることで、多くの学びを得ました。

特に印象に残っているのは、入居希望者の方々からの「家具を置かない部屋にしてほしい」という要望でした震災時に家具の転倒で多くの方が亡くなったという事実から、生存を脅かすリスクを減らしたいという切実な願いが込められていました。
また、「井戸を掘りたい」という声もありました。
震災時に水の供給が止まった経験から、飲み水を確保するための備えを求める声が上がったのです。これらの声は、災害時にも対応できる住環境の整備において、非常に重要な示唆を与えてくれました。

ボランティア活動の発展と福祉の役割
阪神・淡路大震災をきっかけに、日本ではボランティア活動が広く認識されるようになりました。それまでにもボランティア精神は存在していましたが、震災後、多くの人が自発的に被災地支援に動き、災害ボランティアの重要性が社会的に認められるようになりました。

私自身も、被災地での活動を通じて、多くのボランティアの方々と出会い、その活動の意義と可能性に触れることができました。
福祉の現場においても、災害時における役割が見直され、高齢者や要介護者を支える仕組みが災害復興の一環として重要視されるようになったのです。

災害時にも生き続けるための介護
2024年には、全ての介護事業者に災害対策計画(BCP)の策定が義務付けられましたこれは、阪神・淡路大震災やその後の東日本大震災、熊本地震などの経験を踏まえた、日本全体の防災意識の高まりの一環です。介護事業者としては、災害時にも利用者が安心して暮らせる環境を守ることが使命です。

地震だけでなく、台風や洪水といった自然災害が増加する中、災害対策計画を作ることは、事業継続だけでなく、地域全体を支えるためにも重要です。これには、日常の備えだけでなく、災害時に迅速に対応できるシステムやネットワークの構築も含まれます。


【BCP(Business Continuity Plan):事業継続計画の義務化】
2024年から、すべての介護事業者に災害対策計画(BCP:事業継続計画)の策定が義務付けられました。これは、自然災害や感染症の拡大など、想定外の事態に直面した際でも、事業の中断を最小限に抑え、高齢者や要介護者の命と生活を守るための対応を迅速かつ的確に行うことを目的としています。
BCPでは、災害時のリスクアセスメントを行い、被害を最小限に抑えるための準備を明確化します。具体的には、避難計画や職員の安全確保、利用者のケアを継続するための仕組みづくり、さらには物資や医療の供給体制の整備が求められます。また、緊急時の指揮系統や情報伝達のルールを定め、職員間で共有しておくことも重要です。
この義務化は、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の災害経験を踏まえて導入されたものです。これにより、介護事業者が災害時にも地域の要として機能し、利用者やその家族に安心感を提供できる体制づくりが期待されています。

災害の記憶を未来へつなげる
災害の記憶を風化させないためには、過去の教訓を未来の防災・介護対策に生かすことが欠かせません。特に、介護分野においては、高齢者が安全に暮らせる環境づくりと、その環境を維持するための防災体制が求められます。

私は現在、災害時にも対応できる介護のシステムづくりに取り組んでいます。災害時の避難計画や支援活動を視野に入れたサービス提供が可能な体制を構築し、地域全体の安心を支えることを目指しています。

これから、ここから〜 未来へのメッセージ

阪神・淡路大震災を経験した者として、その教訓を次世代につなげることは私たちの責任だと思っています。災害時にも生き続けるために必要な備えや知識を共有し、誰もが安心して暮らせる社会を目指していきたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。この振り返りが、皆さんの防災や介護選びの参考になれば幸いです。
そして、災害時にも支え合うことの大切さを、改めて心に刻むきっかけとなればと思います。
どうぞ安全で穏やかな一日をお過ごしください。





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