寝不足という生活習慣〜眠りの重要性と日本人の睡眠事情
敬老の日に考える、高齢期の「睡眠」と「Kaigo」の未来
今日は9月16日、「敬老の日」の祝日です。
敬老の日は、年配の方々を敬い感謝する大切な日です。個人的には毎日が敬老の日であってほしいと思うのですが、カレンダー上では年に一度の特別な日として、多くのKaigo施設や老人ホームでもさまざまなイベントが開催されていることでしょう。
私が以前、老人ホームの施設長をしていた頃も、敬老の日は特別なイベントを必ず企画していました。休みというよりも、むしろ施設全体で感謝の気持ちを表す日だったので、私も挨拶をする機会が多かったのを覚えています。この敬老の日がなぜ祝日となったのかという歴史についてはいつも気になっているのですが、今日は少し違うテーマでお話ししたいと思います。今回は、私が最近改めて学んでいる「睡眠」についてお話しさせていただきます。
眠りの重要性と日本人の睡眠事情
昨晩はよく眠れましたか?
「よく眠れた」と感じるかどうかは、睡眠の質と量に関係しています。現代日本では、多くの人々が睡眠不足に悩まされています。実際、日本人は世界の中でも「ショートスリーパー」が多い国民として知られています。
筑波大学の睡眠学者、柳沢正史さんの研究によると、日本人は平均して非常に短い睡眠時間で生活しており、慢性的な睡眠不足が広がっているとのことです。
私自身も、睡眠については何度か講義を受けたことがありますし、いくつかの本も読んでいますが、介護の現場で睡眠がどのように取り扱われているかというと、あまり深くは考えられていないようです。
夜勤のKaigoスタッフの業務には睡眠が大きく影響を与えているにもかかわらず、就寝Kaigoや起床Kaigoなどの業務の一環としてしか捉えられていないことが多いのです。しかし、私たちが普段の生活の中で睡眠の重要性を再認識し、それを介護にどう応用できるかを考えることが今後の課題だと感じています。
睡眠負債とその影響
最近よく耳にする「睡眠負債」という言葉があります。これは、睡眠不足が蓄積されていく状態を指します。睡眠は「貯金」することができず、その日に十分な睡眠を取らなければ次の日以降に取り返すことは難しいとされています。たとえば、研究では1日に8時間以上寝ることが難しいことが示されていますが、逆に睡眠不足は負債として体に蓄積され、健康に悪影響を及ぼすのです。
私は、昼間の2時ごろに強烈な眠気を感じることが多く、これは食後の満腹感が原因だと思っていました。しかし、実際にはホメオスタシス(生体恒常性)が関係しているのだそうです。午後2時ごろは太陽の高度がピークに達し、生体リズムが眠気を引き起こす時間帯なのです。
日本人が電車の中でよく居眠りをしているのも、夜に十分な睡眠が取れていないからだと言われています。海外では電車内で寝ることが少ないですが、これは夜間にしっかりと睡眠が取れていることと、治安上の問題も関係しています。
睡眠と健康の関係
睡眠が不足すると、さまざまな健康リスクが高まることが科学的に証明されています。
特に注目されているのが、認知症との関連です。最近の研究では、レム睡眠(夢を見ている状態)がわずか1%減少するだけで、認知症になるリスクが9%も上昇することが分かりました。つまり、質の良いレム睡眠を確保することが、認知症予防に直結するのです。
私たちは日常生活で、脳を活性化させるための認知症予防プログラムに取り組んでいますが、睡眠を改善することも非常に重要だと考えられます。
たとえば、毎朝早起きをして1時間ウォーキングする生活習慣を続けるのは難しいかもしれませんが、睡眠時間を増やすことは比較的簡単に実行できます。
睡眠の質を向上させることで、体調や集中力の向上、さらには太りにくい体質を作ることもできるのです。
睡眠の質を高めるために
睡眠の質を高めるためには、いくつかの要素が重要です。
まず、音や光、温度などの環境を整えることです。そして、心の中にストレスを抱えないようにすることがポイントです。特に介護施設では、利用者が快適に眠れる環境を作ることが大切です。音、光、温度など。例えば、4人部屋の老人ホームでは、他の人の物音や匂いが気になって十分に眠れないことがあります。個室に比べて4人部屋では、睡眠リズムが乱れやすいという研究結果も出ています。
また、Kaigo施設では夜間の排せつKaigoが行われますが、これが睡眠リズムを妨げることがあります。特に複数人部屋では、他の人の介助が原因で目が覚めてしまい、深い眠りに戻れないことが多いです。このような環境では、長時間ベッドに横になっていても実際には眠れていないことがあり、結果として日中に眠気を感じやすくなるのです。
睡眠習慣を改善するための提案
Kaigo現場での睡眠に対する取り組みも進化していく必要があります。
例えば、私が訪れた地方のデイサービスでは、利用者に昼寝の時間が設けられていました。
介護保険上のぜひはありますが、農作業を行う地域特有の早起きの習慣に合わせたものであり、食後にしっかりと休息を取ることで、日中の活動に備えるというものです。
このような地域の取り組みは、Kaigo施設全体で見ても大変参考になります。睡眠の質を高めるためには、利用者の生活習慣やリズムを考慮しつつ、個別対応が必要です。
また、最近の研究では、 KaigoロボットやAI技術の導入も進んでいますが、睡眠科学に基づいた Kaigoシステムの構築も重要です。睡眠不足が Kaigo施設の利用者にどのような影響を与えるのか、より深く理解し、それを基にした対策が求められています。
ここから、これから
睡眠は、私たちの健康にとって非常に重要な要素です。睡眠時間を1時間増やすだけで、集中力の向上や健康状態の改善が期待できます。ぜひ皆さんも、自分の睡眠習慣を見直し、質の良い睡眠を確保するよう心がけてください。
Kaigoの現場でも、利用者がより良い睡眠を取れるような環境づくりを進めていくことが大切です。
睡眠不足は「病気」であり、健康不良の原因となります。日常生活の中で、孤独を避けるための取り組みと同じように、睡眠習慣を見直すことも社会課題の解決の一環となるでしょう。
今日からぜひ、睡眠時間を増やして、心身ともに健康な生活を送ってみてはいかがでしょうか?
私は「感動介護経営」のカリキュラムの一環として「睡眠介護」をシステム化していこうと思います。ぜひご支援をお願いします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。良い睡眠を取って、素晴らしい一日をお過ごしください!
引用/睡眠学者 柳沢正史さん
YouTube【Google賞金4.5億】睡眠革命!「朝型がいい」はウソ!?最新研究【柳沢正史】
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