【2020年3-4月読書録】NETFLIX、ドラッカー、トレードオフ
家で過ごす時間が増えたことで、読書時間が増えた人が多いようです。(どちらかというと、私は読書よりも映画を観る時間が増えました)。もう一つ増えたのが、掃除の時間です。いま、本当に必要なものは「エッセンシャル(本質的)なもの」と言われるように、一時の流行りで買ったものは不要物として引き取り手を探すことになり、反対に少々古くてもやはり必要なものは手元に置いて愛用する、といったことが自分事としてもあります。
今回の読書録は、そういった視点で選ばれた本が対象になっていると言えるかもしれません。
「トレードオフ ―上質をとるか、手軽をとるか」
副題の問いは一見すると極端に感じられるものの、いざ商品を選ぶ立場になると"その中間だ"と知覚して選ぶことはほとんどありません。製品、市場、業務領域を問わず、マーケティングに携わる者としては上質と手軽どちらの戦略も知っておく必要があり、実行できるべきと感じます。たとえ自社が特定市場においてリーディングカンパニーであり、競合に対して優れた機能性を持った”上質な製品”を持っていても、顧客セグメントが変われば立ち位置は見直さなければなりません。上質であることはブランドと結び付けて捉えられる場合もありますが、「顧客に選ばれるか」が結局大事であり、顧客に対して重要でないことはブランディングとはいえません。
本書は発行日をみる限り8年以上前に購入したものですが、自室の整理時に見つけてもう一度読む必要性を感じました。事例は少し古いですが、考え方は今の時代でも適応できます。マスマーケットを狙うなら、何らかの"手軽さ"の訴求はマストである。そのように受け止めました。
「プロフェッショナルの条件」
変化の大きい現代においても受け入れられる普遍的な内容、マネジメントをするなら読んでおくべき本、など発行から20年近くが経っても本書には多くの新しいレビューがついています。社会が変わり、会社の事業が変わり、働き方への価値観が変わる今だからこそ、プロフェッショナルとは何かを原点に立ち返って考えるための一冊として選びました。
前の記事にも引用した下の一文が、プロフェッショナルとは何かへの答えを最も端的に表していると思います。
"成果をあげるためには、貢献に焦点を当てなければならない。"
成果とは何か。会社員であれば自分に課される目標を達成することといえます。ただし、手元にある仕事をやり遂げることが成果につながっているとは限りません。顔を上げて目標に立ち返ること、自分に課されたことが組織にどう貢献するのか、そのために自身をどうマネジメントするのか。この本を定期的に読み返せばマネジメントのエッセンスを掴み直すことができそうです。
「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」
前回読んだPIXERに続いて、当月もドキュメンタリー本です。成長する海外企業の成り立ちや成長の軌跡がわかる本を立て続けに読むのには、理由があります。以前に書いた自身の読書の種類によると、これらの本は、学ぶ読書(ストックさせたい知識を吸収できる)、知る読書(何らかのアウトプットを行うことを目的に、フロー情報に触れる)、メンタルに効かせる読書(楽しむことや、気分転換などメンタルを調整できる)のすべてを満たすからです。
今回NETFLIXを選んだのは、おそらく今このタイミングで世界で成長している数少ない企業であり、日本でも激しい競争にさらされながら利用者を拡大している注目企業であり、人事戦略にも注目されていたからです(自分はまだユーザーではありません)。もともとは「NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~」の方に興味があったのですが、先に事業そのものについて知りたくなりました。
NETFLIXはプラットフォーマーとしてみられがちですが、もとはDVD宅配レンタル業から始まった流通・サービス業です。ストリーミング配信全盛の今でこそ華やかに映りますが、レンタルビデオ店やケーブルテレビ会社に挑み続け、コンテンツをアグリゲートし、ストリーミング市場を切り拓いてきた歴史があります。
この本を読んで最も感じた点、それは「マーケティングに奇策はない」ということです。だからこそ、フェーズによって変わる組織の作り方、経営者の信念と実行力、組織内外との関係性が企業の成長に大きく関係しているということを感じさせられました。
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