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【読書録】人材マネジメント入門、持続可能な地域の作り方 など(2021年1月)

人材業界のマーケティング歴6年。海、田舎、デニム好き。ゆくゆく、街と田舎の2拠点生活を実現したい私が、今月選んだ本はこの4冊です。

1.持続可能な地域のつくり方

4-5年前から年に数回訪れている瀬戸内地方。小さな島々が浮かぶ海の景観。倉敷・尾道・竹原などの風情ある街並み。デニム好きにはたまらない生産地・児島もあります。生まれた滋賀県以外にこれだけ頻度よく訪れる地域は他になく、訪れる度に瀬戸内が特別な場所になっていきます。

この本に出会うまで、地方創生とSDGsが結びついてませんでした。SDGsが自分事ではなかったです。2拠点生活を実現するという目標に向けて、いきなり地方に「自分の役割」があるかを探そうとしていました。そうではなく、交流→関係→役割→移住、このプロセスが必要だということがわかりました。

日本は3大都市圏に人口の50%が集中しています。企業の本社機能の東京移転も進んでいます。地方は若者の労働力不足だけでなく、新型コロナウイルスの影響も重なり、観光などの主要産業が衰退する危機に瀕しています。コロナによる人々の働き方や価値観の変化で、東京は流出超過になってきているようですが、多くの地域にとっては移住(人の移動)だけで経済が活性化するわけではありません。

どうすればいいのか?

本書では、地方の持続可能性の実態を示す55のデータがはじめに示され、ここで地方が向き合う厳しい現実を突きつけられます(ファクトフルネスみたいです)。そこから、地方創生に必要な生態環境が4つの要素を、土:コミュニティ、陽:ビジョン、風:チャレンジ、水:教育 になぞらえて紹介されています。どの要素を作り出すにも、地域の人々との対話が不可欠であり、対話の場を作って適切な問いを立てて話し合うことから始めるのが前提となっており、その後のアプローチも具体的に書かれています。

私のような外の人間が”地方創生”を考えるときに、まず現状と未来を現地の人たちと同じ目線で知る必要があります。SDGsは今起こっている事象を知り、その関係性を整理し、理想の未来とそのプロセスを描くためのフレームワークとしての役割を果たしています。

2.デザインが日本を変える

地方都市にありながら世界に通じるブランド力を持つ会社の1つが、自動車会社マツダです。

この本を手に取ったのは、上の本と関連づけて地方企業の成功事例を知りたいと思ったことです。そこで働く人がどんな意識で仕事をし、どんな組織を作り上げて、どんな未来を描いているのかを知りたいと思いました。特に本書はモノづくりのデザイン責任者によって書かれているため、経営者目線よりも現場よりかと思って選びました。地方企業ならではという内容は少なく、世界の中でどう日本からブランド力のある製品を生み出すかがメインイシューではありましたが、学びもありました。

上の本にもある地方創生に必要な「ビジョン」について、「魂動」デザインを発想・開発した著者が社内に示し広げていくエピソードは勉強になりました。製造現場で職人として働く人たちが、自らの仕事の役割・定義を変えていく姿が印象的でした。(ただの"型屋"から"車屋"へ etc)

3.図解人材マネジメント入門 「理論と実践」100のツボ

日頃人事担当のお客様と接しながら、人事の仕事内容、人材のことを理解してるか?と問われたら、答えはNoです。採用業務を知ることはできても、顧客企業の中での人事の役割、採用と他業務との関係性については、まだまだ知識が足りないと思っていました。

そんな折、書店でタイトルと形状が目について手にとったのが本書です。

「〇〇のポイント100選」「××を実現する50のアイデア」などのタイトルの本は、知りたいテーマを広く浅く把握するには良いですが、内容が薄くて読後感が良くないイメージがありました。しかし、本書は1つのテーマの"概要"が見開きでわかり、左がテキスト、右が図解なので理解の反復性もあります。"概要"と書きましたが、まさに"ツボ"が押さえられており、各テーマのページ順も理解を深めるための緻密な意図を感じ、1つのテーマへの理解だけでなく、別テーマとの関係性がわかりやすかったです。例:評価と報酬との関係性。「報酬とは何か?」→「内的報酬と外的報酬のバランスをどう取るべきか?」etc

特にChapter 10.働く人 は、この20ページだけで読む価値がありました。

著者はリクルート、アカツキに所属された経験があり、サイボーズ、トヨタを加えたタイプが異なる4社ごとの事例が掲載されており、各テーマを多面的にとらえることができました。このnoteで紹介する4冊の中で、いちばんおすすめです。

4.リブセンス<生きる意味>

発行されたのは9年前ですが、最年少上場を実現した村上社長、リブセンスという会社について知りたいと思って、会社の本棚から借りてきました。

リブセンスの由来は”生きる意味”なのですね。

リブセンスのはじめの事業「ジョブセンス(現:マッハバイト)」は、アルバイト領域で企業やお店が人材の採用を決定した段階で料金が発生する成功報酬型課金モデルが当初斬新で、アルバイト採用された応募者にもお祝い金が贈られる点も特長です。設立から5年あまりでマザーズに上場するほど急成長しました。

成功報酬型モデルはとても合理的な仕組みだと思いながら、成功、報酬という言葉の組み合わせから、とても泥臭く、肉食な印象を与えられます。(ものすごく主観ですが)

IT、人材事業は他業種と比べると、比較的参入ハードルが低く、先行者メリットがあったとはいえ、他社を抑えて成長できた理由は何なのかという視点で読み進めました。

その答えは、村上社長が自身の"生きる意味"を突き詰めて考え、人を幸せにすることで自分たちも幸せになるという信念を突き通していることなのだ、と解釈しました。(抽象的ですが、読んでもらえればわかると思います)

キャッシュが生まれない中で目先の儲けに走らず、顧客の採用成功とユーザーの利便性の実現にコミットし続けた姿が克明に描かれています。

村上社長の育った環境についても多く書かれており、お母さまのサポート・振る舞いは、子を持つ親として見習いたいと思わされました。




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