🥁1つのドラムセットで2種類のビートを同時に演奏する🤯（動画あり）

　皆様、ご飯は食べられましたか？　カンジーラ奏者 / リズム・インストラクターの清水陸生（Rikuo Shimizu）です！　いつも筆者の投稿を見てくださってる方も、はじめましての方も、本記事を開いていただき、ありがとうございます！
　今回は、筆者が2021年頃に、同世代で最も尊敬するミュージシャンの一人である人物と一緒に、彼女のプロジェクトの楽曲制作をしていた際に二人で思いついた、ドラム・セットにおけるアイディアを、読者の皆様と共有させていただきたいと思います。
　最後まで、――各々のペースで――お楽しみいただければ幸いです。
　それでは、ポラマ？

演奏動画

解説

　以上の動画で筆者が演奏している内容が、その「アイディア」なのですが、いかがでしょうか？　何が起こっているか、ご理解いただけましたでしょうか？　

　以下の画像をご覧ください。

読者の皆様に、今回のアイディアを把握して頂きやすくするために、筆者が演奏内容をヴィジュアライズしたもの。一般的なドラム譜っぽいけれど、発音しない部分をドットで表すという南インドのリズムの書き表し方が混ざっていて、普段より譜面を読まれている方には違和感を覚えられるかもしれませんが、矛盾も複雑さも無いので、これはこういうプロトコルとしてご理解いただき、今回のアイディアの把握に役立てていただければ幸いです。

　画像上段が、「シャッフルっぽい、、、ビート」。下段が、いわゆる「8エイトビート」。（ちなみに、――ヒップホップの世界では、本場アメリカ合衆国においても、ドラム・シークエンスのことを「ビート」と呼ぶカルチャーがありますが、――「8ビート」という言葉は、日本において、すっかり定着しているものの、これは実のところ違和感のある和製英語です。「8ビート」の定義は「8分音符」ですから、英語では「8th note（エイス・ノート）」となります。「ビート」は「拍」のことなので、「8ビート」と言うと、「8/4拍子」といった意味合いになるでしょう。ともあれ、記事タイトルや動画タイトル、本文においても、ここでは便宜的に「ビート」ないし「8ビート」という言葉を、広く了解されている和製英語のそれとしての意味合いで使わせて頂きます。）

　動画を見ていただくと、右手でクローズド・ハイハットとメイン・スネアとを行き来しながら、左足で、もう一方のハイハットを操作しています。そこに、バスドラム（右足）と、ローピッチ・スネア（左手）が追加されていきます。
　この右手で行っているのが、画像上段の「シャッフルっぽい、、、ビート」です。そして左足と左手で行っているのが、画像下段の「8ビート」です。（※画像下段の表記において、スネアを打っているところにハイハットは表記されていませんが、実際はスネアと同時にハイハットもプレイしています。表記の誤りを、ご了承ください。）そして、バスドラムが、上段と下段との両方におけるそれをプレイしています。

サブディヴィジョン

　では、どうして、しつこく「シャッフルっぽい、、、」という表現をしているのかについてご説明します。
　本来、シャッフルのサブディヴィジョン（1拍あたりに、いくつのノートが存在するかという定義）は3連符ないし6連符です。しかし、このアイディアにおいては、8ビートと統合するために、サブディヴィジョンを16分音符（すなわち1拍あたりに4ノーツ）とし、その代わりに6ビート・サイクルとすることによって、メトリック・モジュレーションを用いてシャッフルのサウンドを表現しています。こうすることで、「8ビート3回」と「シャッフル4回」とが、同時に演奏できるというのが、このアイディアの肝というわけです。

アイディアの背景

　では、どうしてこんなアイディアを形にしようと思ったのか、どうやって思いついたのかといった背景をお話しして、本記事を締めくくらせて頂きたいと思います。

　前述のとおり、このアイディアは筆者が、とあるミュージシャン / クリエイターと音楽制作中、いろいろなエクスペリメントをしていた際に思いついたものです。
　まず、デュアル・ドラムス、すなわち、2つのドラムセットで、それぞれ別の内容をプレイするというアイディアが浮上しました。（このようなアイディアはフリー・ジャズの作品で大昔に既に出ています。誰の何だったか完全に忘れてしまいましたが⋯⋯「これじゃない？」と思われた方がいらっしゃったら、他の読者の方々のためにも、ぜひコメントでお知らせください。）
　彼女のプロジェクトのコンセプトが、「ブルースを現在的なパラダイムで解釈し直す」といったものだったので、筆者が真っ先に思いついたのは「シャッフル」と、ポピュラー・ミュージックにおいて最も馴染みのあるサブディヴィジョンないしドラム・パターンの一つである「8ビート」を、厳密にクオンタイズせられたかたちで（シャッフルのルーツを辿ると、現在のように理論的に定義されているのではなく、あくまでフィーリングないし「節ぶし」である）統合するというものでした。そこで、彼女がDTM上でその両方のパターンを作成し、同時に再生しました。すると、3連符ないし6連符のシャッフルと8ビートとで、2つの異なるサブディヴィジョンが混在している情緒が、2010年頃のクリス・デイヴ氏や、しばらく前のマイク・ミッチェル氏のようで、筆者は気持ちよかったのですが、彼女は「私はちょっと、この気持ちよさは分からないな」と言いました。そこで、2つのパターンを同じサブディヴィジョンで再生するというリファインを二人で思いつき、再生してみました。そのサウンドには、彼女も筆者も気に入りました。
　そして、「これなら、4 Way Coordinationないし4 Way Independence的な要領で、一つのドラムセットで再現可能、ともすればライヴでも再現可能！」　と考えた筆者は、そのオーガナイズを進め、練習し、形にしました。それが、動画で行っているものです。（筆者はそのプロジェクトのメンバーとケンカして辞退したため、筆者のアイディアが強く反映されている楽曲は、これを含めてお蔵入りになったようですが。）

4 Way Coordinationについて

　4 Way Coordinationないし4 Way Independenceと聞いて筆者が思いつくドラマーは、オラシオ・エルナンデス氏（同氏であれば、複数の異なるサブディヴィジョンでも同時に演奏されるでしょう）や、テリー・ボジオ氏（オスティナート奏法の発明者）、ヴァージル・ドナティ氏（Layered Grooveの発明者）、その他、マルコ・ミネマン氏、マイク・マンジーニ氏などですが、いま名前を挙げさせていただいた真に偉大なドラマーの方々は、同コンセプトないし技術を用いて信じられないような音楽的統合を成し遂げていますので、こちらの方面に興味を持たれた読者の方々には、ぜひ、お調べになられたいです。

あとがき

　今日も筆者の記事を読んでいただき、ありがとうございました！　次回の音楽にまつわる投稿は、2025年02月23日（日）を予定しております。3日おきに、このような投稿をさせて頂いておりますので、気が向いた際にでも、また覗きに来ていただけたら嬉しいです！
　それでは、皆様が健康で幸せな日々を送られていますように。

筆者プロフィール

清水陸生しみずりくお（Rikuo Shimizu）
1996年12月10日生まれ。大阪府豊中市在住。
高校卒業後よりプロドラマーとして活動。
TAMA Drumsエンドーサー。
ベース&ドラム・デュオ、Kyotaro&Rikuo（京陸）での活動や、広瀬すず氏主演映画『一度死んでみた』への出演などを経て、いろいろ極まって南インドへ渡る。
現地はチェンナイにて、世界的カンジーラ奏者 / パーカッショニスト / グラミー賞受賞者のV・セルヴァガネーシュ氏らに弟子入りし、同氏一家宅に住み込み、カンジーラや南インドの伝統的リズムを学習する。
帰国後現在、師匠らから学んだ伝統的作法を汲みつつ、カンジーラを用いて独自の音楽性・演奏スタイルを探求しながら、母国日本にてその普及活動を行う。
リズムレッスン生徒様、随時募集中。リズムレクリエーション / 演奏依頼等、随時受付中。サービス内容 / 料金 / コンタクトは、以下をご確認ください。

有料サービスと料金表

【レッスン / レクリエーション】
★オンライン・リズム・レッスン：¥10,000 / 3セッション（1回目：取り組んで頂く内容のインストラクション / 2回目：より詳細なレクチャー / 3回目：仕上げレクチャーの、3セッション+教材PDF込み。学ばれたい内容やペースなど、ご要望をお聴きし、学習者それぞれに合ったプランを立てて開始させて頂きます。ZOOM等を使用します。※料金は一人あたりの金額です）
★オフライン・リズム・レッスン：¥10,000 / 3セッション（詳細は上に同じ。こちらは出張させて頂きますので、交通費・場所代・宿泊費が必要な場合は、依頼者様に別途ご負担頂きます）
★オンライン・リズム・レクリエーション：¥30,000~（10名様までは同じ料金で対応させて頂きます。10名様以上の場合はご相談ください）
★オフライン・リズム・レクリエーション：¥30,000~（詳細は上に同じ。こちらは出張させて頂きますので、交通費・場所代・宿泊費が必要な場合は、依頼者様にご負担いただきます）

【楽器演奏】
★カンジーラによる伴奏（ライヴ / レコーディング）：¥30,000~（交通費・宿泊費等が必要な場合は、別途お願い致します。また案件に伴うリハーサル参加等における料金については、ご予算等お聴きしますので、要相談）
★ドラム・セットによる伴奏（ライヴ / レコーディング）：¥30,000~（交通費・宿泊費・リハーサル等についての条件は上に同じ。ドラム・セットの場合、機材の確保を依頼者様の方でお願い致します）

2025年02月20日現在のサービス内容 / 料金

コンタクト

Email : rikuoshimizumusic@gmail.com 
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