組織づくりはこうして失敗する
こんばんは。
SURL株式会社 代表 湯浅です。
今回は#サラトレ池尻大橋本店を立ち上げ、従業員数を増やし崩壊してしまった組織運営について振り返るとともに失敗の原因を改めて内省し、忘れないように心に刻むためのnoteです。
また、今回のnoteが誰かの気づきになれば幸いです。
(良ければこちらのnoteもご覧ください↓)
上記の記事にもありますが、2022年5月に女性専用子連れOKのパーソナルジム#サラトレを私含め、想いに共感してくれた2名の従業員の3名で立ち上げました。
立ち上げてから約1年1名のメンバーがおめでたで#サラトレを去ることになって以降に問題が発生することが多くなりました。
なぜ問題が起こるようになったのか?
振り返ると原因は『マネジメント』と『採用』にありました。この2点の何が良くなかったのか、なぜ組織を崩壊させてしまうに至ったのかを自分なりに振り返り考えたので記載いたします。
まず、この2点を考えるにあたってそれぞれの言葉の定義を調べてみました。
『マネジメント』という言葉の定義を調べてみると「資源や資産・リスクなどを管理し、経営上の効果を最適化しようとする手法」のことを指し、『採用』とは「このマネジメントに出てきていた資源の一つである人材を適切なポジションに雇い入れる」ことを指すようです。
言葉の定義からも『採用』と『マネジメント』は切っても切り離せない関係にあり、どちらかがうまく働かなければ組織としては衰退を辿ってしまいます。
そんな重要な役割である『マネジメント』と『採用』において間違いを犯ししてしまい、結果的に従業員にとってワクワクしない、マッチしない環境を作り上げてしまいました。
これは何も最初からそうだった訳ではなく、次第にそうなっていってしまったというのが正しいかなと思います。
冒頭に述べたように、初期メンバーのうちの1名がおめでたで抜けて従業員数を増やしたタイミングで問題が出てくるようになりました。
では、何が原因で『問題』が出てきてしまったのかをここから紐解いていきます。
まずは『マネジメント』から。
マネジメントにおいては、主に下記の4つが出来ていなかったことが原因で組織づくりに失敗したと思います。
①従業員との物理的なコミュニケーション時間の確保
②企業として、事業として目指すべきビジョンや目標の共有
③現場で起きている出来事の把握
④従業員(コアメンバー)への経営状況の共有
一つずつ紐解いていきます。
①『従業員との物理的なコミュニケーション時間の確保』
立ち上げ当初のメンバーの時に比べて従業員数を増やしたり、店舗を増やしたタイミングで明らかに減ってしまった自覚があります。
そして、これは何も従業員数が増えて物理的な時間が取れなくなったことだけが原因ではありませんでした。
当時の私の考えとしても、事業を伸ばすために必要な施策を考えつつ、多くの方に会ってヒントをもらい知見を高めて既存事業や新規事業の可能性を広げることに注力し、現場は任せて自分にしか出来ないことをやるべきなんだと思っていました。
その結果、従業員の子たちとコミュニケーションをとる時間を疎かにしてしまい、彼女たちの抱えている『葛藤』や『ストレス』『感情や考えの変化』『感じている違和感』に対して目を向けられておらず理解をしてあげることが十分に出来ておらずモヤモヤとした気持ちや不満を抱えさせてしまうに至りました。
②『企業として、事業として目指すべきビジョンや目標の共有』
本来であれば『この事業をなぜやっているのか』『なぜ私たちがやるのか』について何回でも何十回、何百回でも伝える必要があったはずなのですが、これが私には出来ていませんでした。
ビジョンや目標を何回も従業員に伝えることに対して自分の中で小っ恥ずかしさや何度も伝えなくても分かってくれてるだろうとなぁなぁにしてしまっていました。
この結果、従業員たちは何を目指してどこを目指すべきなのかが不明瞭になり、
『りくさんがどこを向いているのか、何を目指しているのか分からない』
『りくさんの行動が#サラトレにどう繋がっているのか分からない』
と言わせてしまうに至りました。
従業員にこの言葉を投げられた当時は『なんで分かってくれないんだ』って思ってしまっていましたが、そりゃ分からないはずです。だって十分に伝えきれてないんですから。
アニメの例を出させてもらうと、ワンピースのルフィーに仲間達が集まってきている理由の一つはルフィーが明確に『海賊王におれはなる!』と言い続けてそれを仲間に伝え続けているからです。ビジョンが明確で何度でも伝え続けられるからこそ仲間はいつ何時もどこを目指すべきなのかが理解でき、サポートすることが出来ます。
一方、私の場合はルフィーとは正反対でビジョンや目標の共有も十分に出来ておらず、それでは従業員もサポートしようにも出来ない状況だったわけです。また、トップの考えが分からなければどこを目指せばいいか分からず不安になりますし、そんなトップについていけなくなるのは当たり前です。
だからこそ組織を一致団結させていくには日々嫌というほど会社や事業のビジョンを言い続けて浸透させていく努力が必要だったなと思います。
③現場で起きている出来事の把握
物理的なコミュニケーション量が減ったことにも紐付きますが、現場の様子を見る時間も立ち上げの3人でやっていた時より減ってしまい、一部の従業員に負担が寄ってしまうなど問題が起きていました。
しかし、池尻の店舗にいる時間が減っていたのでその問題に対してもすぐに気づいてあげることが出来ずにストレスを感じさせてしまっており、楽しく働けていた環境からストレスを溜め込ませてしまう環境に変えさせてしまっていました。
ずっと現場に張り付くことは難しくとも◯曜日の何時から何時は店舗にいるというルーティンを作っておき、現場状況を細かに把握しておくべきだったなと思いますし、そうすることで①に挙げたコミュニケーションの問題も解消されたのではないかと思いますし、そうしなかった自分に喝を入れたいです。
④従業員(コアメンバー)への経営状況の共有
従業員数が増えたタイミングや集客が落ち込んだタイミングで経営状況が大変であることを伝えた上で協力を仰ぐということが僕には出来なかったです。
『自分でなんとかしなきゃ』という思いが強かったのと『経営が大変なんて伝えたら余計な不安を煽るのではないか』という考えが先行してしまい、伝えることが出来ませんでした。
コアメンバーだけでも、経営状況について真剣に伝えた上でどうするべきかを話し合えたならばもっと結束を高めながらより良い案やアイデアを出し合えたのかもしれないなと思います。
次は『採用』から考えます。
採用時において私は言うべきことやお互いに擦り合わせておくべきことを擦り合わせられていなかったように思います。
下記の5点は私自身が採用をする中でもっと伝えたり、聞いておくべきだったことやまた組織を作る際には気をつけようと思っている項目を挙げさせていただきました。
①目指したい組織像と伝えている求人要件とのギャップ
②自社のリアルな状況と目指したい組織像の共有
③相手に期待している価値提供について
④過去の経験の深掘り
⑤譲れない価値観の確認
それぞれについて一つ一つ紐解いていきます。
①目指したい組織像と伝えている求人要件とのギャップ
「採用したい、採用しなければ」という思いが強く、良い面ばかり伝えすぎていたように思います。例えば、休みやシフトの組み方も他のパーソナルジムと比較すると自由度が高く、1日8時間勤務で残業も特にないことや社員であれば有給は初日から利用することができる、外部講師を呼んだ研修もあるなど、安定した大企業のような働き方を伝えてしまっていました。
ただ、伝えていた求人要件は私の理想とするスタートアップの働き方ではなかったですし、「部活みたいに熱くなれる職場」とは程遠い環境をこの時点から作ってしまっていたなと思います。
②自社のリアルな状況と目指したい組織像の共有
どういう組織を作りたいのか、自社は今どのような状況なのかについて採用面接時に十分に伝えることが出来ていなかったように思います。自社の現状と目指したい組織像をしっかりと伝えられていないことでジョインしてもらってからのギャップも感じやすく、期待していた環境との違いにモヤモヤさせてしまうことも多かったのではないかと考えています。
そして、伝えられていないことによって私自身もモヤモヤしてしまうこともあり、次第に心の距離自体も離れてしまい「自分でなんとかしないと」と思う気持ちをより強固にしてしまったように思います。
③相手に期待している価値提供について
相手に対してどのような価値を組織で発揮してもらいたいのかについて具体的に話を出来ていませんでしたし、そこを自分自身でもクリアに考えられていなかったなと思います。
期待している価値について明確に伝えることで相手は自分がジョインすることでどのような活躍ができるのか、どのように組織に貢献できるのかがイメージしやすくなったと思いますし、組織での動き方も変わったのではないかと思います。
④過去の経験の深掘り
過去の経験の中でも「うまくいったこと」と「うまくいかなかったこと」を聞いた上で「なぜうまく行ったのか」、「なぜうまくいかなかったのか」について本人なりの考え方をしっかりと深ぼって聞くべきだったと思っています。
過去の経験を深ぼって聞くことによってその人がどのように人生を歩んできたのか、どのような考え持っていたのかを知ることが出来ます。そして、それらを自分の言葉として言語化することが出来る人は自分の成功要因も失敗要因も把握できており、再現性の高い人だということもわかります。
特にうまくいかなかったことについてしっかりと原因を把握してして、自分に落とし込める人は同じ失敗を起こさない可能性が高く、成功角度を自身で高めていける素晴らしい人材である可能性が高いのではないかと思います。
採用段階で今後しっかりと聞くべき項目の一つだなと思います。
⑤譲れない価値観の確認
お互いに譲れない価値観を確認しておくことは、入社後のギャップをなくすことに繋がる大きな要因になります。
例えば、仕事よりもプライベートの予定を何よりも優先したいと思っている候補者と部活のように昼夜厭わずにガンガン働いてみんなで上がっていこうという気概のスタートアップの会社ではお互いの大事にしているものが大きく異なりますし、入社したとしてもお互いにモヤモヤを抱えて良くない結果を生み出しやすくなります。
どれだけ企業の掲げているビジョンに共感していたとしても根本的な価値観の部分に相違があると、悪いギャップになり、結果的にお互いにとって良くないことになります。
以上のように「マネジメント」「採用」面でやっておくべきことを出来ていなかったからこそ組織は崩壊し失敗してしまい、店舗を締めるに至ってしまったのだと思います。
大前提、ジョインしてくれた従業員のみんなは希望を持って入ってくれました。
ただ、私がマネジメントや採用において考えておくべきことを考えられておらず、伝えるべきことを伝えられておらず、実行すべきことを実行できていないことによって理想の組織とは程遠くなってしまいました。
結果的に、入社前と後でギャップが生まれた従業員もいたでしょうし、ワクワクして希望を持って働いてもらえない環境を作ってしまいました。
当時働いてくれていた従業員たちには本当に申し訳ないことをしたなと思います。だからこそ今回の組織が崩壊するに至った原因を内省し、振り返り、次に活かしたいと思います。
また、今回の経験を通して失敗の要因を自分なりに把握できました。何をすれば良いのか全てとは言わないですが、理解できたと思います。だからこそ、私の知見を役立てることが出来る企業様などがあればぜひご連絡ください。
さらに現在は、今回の経験も活かしながら「フィットネス」×「チームビルディング」や「フィットネス」×「採用」のサービスを構想立てて着手して作っております。
こちらも興味を頂けましたらぜひご連絡ください。
2024年は失敗ばかりの一年ではありましたが、失敗の中からこそ学ぶことが多くあり成長する良い機会だと先輩経営者にお言葉をいただいたので、学びの1年だったと意味付けてまた1から頑張ります。