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朝ドラ「虎に翼」のペースダウンに思うこと

台風一過、爽やかな青空……と言いたいのですが、青空はともかく爽やかではありません。濃厚でとろみの付いた暑さが戻って鬱です。遅ればせながら、あなたが台風で特段の被害を受けていないことを願っています。

さて、……。

8月も後半に入り、朝ドラも終盤に差し掛かっている。クオーターで区切れば第4四半期に入るのだから当然である。

私は異動に伴い出勤時間が変わったため、朝に観るのは難しくなった。でもNHKプラスの活用で何とか視聴を続けている。実はNHKプラスだと再生速度を変えられるのと主題歌部を飛ばせるので、時短で観られる利点がある(米津玄師ファンには申し訳ない)。

……NHKの宣伝をするつもりはないのだけどw、これらの機能は役立っている。

本題の朝ドラ「虎に翼」であるが、ここに来てちょっとテンポが悪くなってきたと感じている。

このドラマの評価がこれまで高かった理由を私なりに考えてみると、以下の3つがある。

①戦前の昭和時代に漂う女性蔑視の風潮。それをものともせず自分の能力と意欲と人柄で多くの人を味方に付けながら困難に挑んでそれを成し遂げ、周りを変えていく主人公の生き様。

②描く対象が「女性はさっさと結婚して家庭に入るべき」との昭和の前時代的な世相でありながら、実はその前時代制が令和の今にも通底している。観ている私たちにそのことを訴えかける巧みな脚本。

③実力俳優による魅力的なキャラを豪華に配置できるNHKの底力に加え、劇中劇に登場人物を転用するギャグやあり得ない家庭裁判を織り込み、堅苦しく思われがちな法律を扱うドラマなのに視聴者に内容を分かりやすく伝える卓越した演出。

これらの3要素により、この次はどうなるのだろう、令和の今も同じようなことあなあ、次の登場キャラが楽しみ、と私たちの興味関心を掻き立ててきた。

ただ、航一と寅子の恋愛編になって明らかにテンポが悪くなっている(大事なことなので2度言う)。恋愛部分、朝ドラの視聴者の多くが家庭の主婦だった頃には必須だったのだと思う。これまでの朝ドラでもその部分は踏襲されてきた。

でも、最初に優三さんと結婚した時よりも寅子ののめり込み度合いが強くなっているように思われる。私はそこに違和感を抱く。自分にそういう経験がないからだと言われたらそれまでなのだけど。

これまでの「虎に翼」であれば、このようなプライベート部分よりも原爆裁判のような表に出る部分とそれに密接な裏の部分に時間を割かれていたように思う。直言の裁判はまさにそうだった。今回の恋愛が表に何か関わるのだろうか。

また、直道と花江は典型的な古いタイプの結婚をした。でも、この2人の間には深い愛情があった。これに対比して法の下の平等に基づく新しい結婚を志向しているはずの航一と寅子であるが、今の寅子の振る舞いには、家同士の結びつきという古い価値観が透けて見えてしまっている。

何となくブレを感じてしまうのだ。来週以降の展開に注目したい。

お読み頂き、ありがとうございました。

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