おいしく眠れる |#青ブラ文学部|#シロクマ文芸部
チョコレートをむしゃむしゃ食べていたら、突然目の前が眩しい光で覆われて、魔法使いのおばあさんが現れました。私の願いを叶えてくれると言います。
「眠れなくて困っています」
「なんだい。そんな簡単なことかい」
魔法使いのおばあさんは、持っていた長い杖で空に向かって大きな円を描きました。
すると、とても美味しそうなチョコレートが山のように現れたのです。
手を出そうとしたその時、
「このチョコレートは眠り薬」
「一日5粒しか食べてはいけないよ」
「わかりました」
魔法使いのおばあさんは眩しい光の中へ消えていきました。
私は来る日も来る日も、そのチョコレートを毎日5粒ずつ食べました。一度に5粒食べることもあれば、1粒ずつ5回に分けて食べる日もありました。
そのチョコレートのおかげで、とてもよく眠れるようになりました。
すごく美味しいチョコレートなので、もっと食べたい気持ちがありましたが、言いつけを守り続けました。
よく眠れる日が続いていたある日、私はそのチョコレートをもっと食べたい気持ちが抑えられなくなり、とうとう6粒目を食べてしまいました。
また目の前が光で眩しくなり、魔法使いのおばあさんが現れ言いました。
「残念だね… あれほど言ったのに」
魔法使いのおばあさんは、持っていた長い杖で空に向かって大きな円を描きました。
「没収!」
すると山盛りだったチョコレートは1粒残らず消えてしまいました。
眠れない⋯
また眠れない⋯
どうしよう⋯
ぱっと目が覚めました。
なんだ夢かぁ~
むしゃむしゃチョコレートを食べながら、ぐっすり眠っていた私なのでした。
青ブラ文学部の企画(2作目です)とシロクマ文芸部の企画に参加しました。
山根あきらさん、小牧幸助さん
いつもありがとうございます。