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本を書く(1話)|万年筆と才能|#シロクマ文芸部
本を書くのに万年筆が一番いいんだと自称小説家の友人から聞いたことがあった。
その友人の自費出版本を読ませてもらったが、この程度で小説家を名乗れるなら、自分の方が才能があると思った。しかし本心は口にだすはずもなく、その言葉は飲み込み小説の内容が素晴らしかったと絶賛した。
会社勤めがいよいよ嫌になり、もう会社を辞めようと思ったときにその友人のことを思い出した。
そうだ本を書こう。
万年筆を買うことにした。ブランド名と値段に悩みはしたが、脱サラ生活の自分は高級万年筆を買うことはできず、それでも大奮発の1万5千円のモンブリン製を購入した。
原稿用紙も買った。
前々から小説の構想を練っていたので、早速書いてみたが、読み返すとなんともつまらない。
友人の自費出版本よりつまらなかった。
万年筆があわないな…
今度は3万円のプラナナ万年筆を購入した。
2本目の万年筆は値段が高い分、原稿用紙へ書く自分の字が上手に見えた。書き味も良い気がする。
アルバイトをしながら小説の構想を練り直し、なんとか自分で満足のいく作品に仕上がったので、それを評価してもらうため、いくつかの小説投稿サイトへ登録し作品を投稿した。
大勢の人たちから『いいね』をもらえ、とても気持ちが良く嬉しい。
一週間ほどしたある日、誰かからダイレクトメッセージが届いた。
自分の小説が認めてもらえたのだろうか…
そういうDMだと嬉しいのに…
ダイレクトメッセージのアイコンを開くと、出版社からだった。
やった!
あなたは才能があります。
小説家になりませんか?
『本を書く(2話)|才能|#シロクマ文芸部』へ
つづく…
「本を書く」ではじまるお話を書きました。
2作目ですが、これを1話、前回を2話としました。
シロクマ文芸部 さんの企画に参加しました。
※実在の万年筆メーカーを思わせる社名を書きましたが、これは作り話です。実際の万年筆メーカーさんの商品はどれも素晴らしいものです。
※昔、社会人になったお祝いだと、父がモンブラン製の万年筆を買ってくれました。残念ながら使う機会もほとんどなく、宝の持ち腐れで引き出しの中に入ったままのその万年筆を思い出し、このお話を書きました。
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