トロンボーンの口調でね♡|#毎週ショートショートnote
友人のアヤは何かと頭に血が上りやすく、怒っている時の声はワントーン上り、耳を塞ぎたくなるほどの騒音となる。
最近、アヤのその声を悪く言う噂を耳にするようになり、親友として注意するべきか悩んでいた。
アヤは真っ直ぐな性格でいい子なのに、そのキーキー声のせいで嫌われるなんてあんまりだ。
ある日、思い切ってその話をした。
「アヤ…怒らないで聞いてね」
「怒る時の声のトーンを下げたほうがいいと思うの」
「煩かった?」
「うん… ちょっとね…」
沈黙が続き、言わなければよかった…と思ったその時、アヤが口を開いた。
「じゃ、こんな感じどう?」
すごく低音で怒ってみせた。
「麒麟の川島さんみたい!」
おかしくて二人でケラケラ笑った。
その後もアヤは声色を変え、同じセリフを何度も何度も言った。
「トロンボーンの音みたいになってきたよ!」
また二人でケラケラ笑った。
あの日以来、アヤが怒る場面では耳元にこう囁く。
「トロンボーンの口調でね」
アヤが微笑んだ。
【408文字】
たらはかにさんの企画に参加しました。
『トロンボーンの口調』
どうぞよろしくお願いします。
騏驎の川島さんへ
勝手にお名前使わせていただきました。
申し訳ございません。
(先週はヒロシさん使わせていただきました)