全日本選手権への夢:武山啓太(OB / 70期) by 慶應矢上庭球部
慶應義塾體育會矢上部硬式庭球部で社会人コーチをしている武山啓太といいます。現在、リハビリ科医でありながらJTAランキング113位で全日本選手権出場を目指している岩井勇策選手のサポートをしています。サポートの内容は主にパワーアップとスピードアップに関する身体の使い方です。今までこの慶應矢上庭球部で8年間指導してきた中で初心者を含む多くの学生達に伝えてきた内容と同じです。
ここからは彼と初めて出会ってから今回サポートする事になった経緯を話したいと思います。
初めて出会ったのは、大学時代の医学部と理工学部の交流戦です。彼は関東医科歯科リーグでは有名な選手で大学4,5年時には個人戦優勝もしています。当時の彼は練習の1時間前からコート脇で一人、汗びっしょりになるまでアップをしており、すごく意識が高かったのが印象的です。
その後、一方で私は、テニスのミスを減らしたい一心で、人間工学のヒューマンエラーマネジメントを学び、社会人ではインダストリアルエンジニアとして工業的な作業分析などに従事し、また大学・社会人生活を通して様々なスポーツに関わる本を合計100冊以上読み、個性にあわせた身体の使い方を学んでいきました。
そして出会ってから10年が経った今年の春、岩井選手の近況を慶應矢上庭球部の関井監督から偶然教えてもらいました。それは彼が国内トップクラスのコーチに指導を仰ぐYouTubeであり、指導は非常に多くの金言に溢れていました。ただ彼は金言をうまく咀嚼できず、アドバイスを活かせないでもがいていました。その苦しむ姿は私には今まで教えてきた学生達と重なって見え、直感的にこのままだと岩井選手の全日本に挑戦する物語は終わってしまうと感じていました。
私は「この物語の先を見たい」と思い、今までの経験から物語を先に進める術が思い浮かんだので、SNSで彼に直接思っている事を伝えました。彼はすぐに電話で返事をくれました。すごい熱さです。私がその電話で伝えた事を、彼が実際にすぐ試してみて、そのままオンラインでやり取りをする流れが今でも続いています。私自身、直接コートで教えなくてもオンラインで教える活動は慶應矢上庭球部でのコーチ経験から慣れていたので、オンラインでのサポートはスムーズに行きました。私が彼に伝えているのは身体の使い方です。加えて彼は身体能力向上も必要でしたので、トレーニングに関してはスポーツ選手のサポート経験豊富な三軒茶屋にあるBODY MAKE SALON Emotionの古木トレーナーにお願いしました。その後、彼はすごいスピードで成長していきます。今まで教えてきたどの学生よりも早いスピードです。医学部リーグで彼と対戦した事のある友人に聞くと「まだ岩井は伸びるの!?」と言っていましたが、目標が全日本選手権なので実質伸びしろしかありません。
現在、岩井選手の主戦場である国内大会は中止の状況が続いていますが、再開されれば試合で良いパフォーマンスを見せてくれると信じています。
私のサポートだけで全日本選手権に行けるとは到底思いませんが、彼が今後多くの人の指導を受けて成長するための土台を作れたら、と切に願っています。
最後に余談ですが、彼のサポートをしている中で一番心に残った言葉が「みんなに手助けしてもらったお陰で『想像の先に』行ける」というものでした。私も『想像の先に』行きたくなり、テニスの指導も会社での生活も今すごくワクワクしています。
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岩井選手の公式HPです。
BODY MAKE SALON EmotionさまのHPです。