離婚協議前-(1)気持ちを固め、相手と対峙する準備

離婚をするには必ず相手と対峙しなければなりません。しかし、往々にして、離婚相手と対峙したくないものです(対峙できるような方はこのNoteを読まずにさっさと離婚を争っているでしょう)。私の場合は、そこを誤魔化し誤魔化して、十数年の結婚生活を送ってきました。自分が我慢すれば家庭はうまくいく、自分にも悪いところがあるなどなど。

本格的に離婚に動き出す前には、こういった気持ちを整理し、離婚する決意を固めておくことが大切です。

離婚の話し合いがすんなり済めばよいですが、そうでなければ、いきなり崖っぷちに立たされることになります。生半可な気持ちでは、絶望感しか味わえません。離婚するまでの期間、離婚をすると言い出してしまったことを何度も後悔することも出てくるでしょう。それを避けるためにも自分に向き合っておく必要があるのです。加えて、断固とした決意が相手に伝わらないと、これまでの結婚生活で我慢してきたように離婚条件などのどこかに付け込まれることになりかねません。

また、結婚生活が長ければ長いほど、自分の思い込みも社会の常識からずれてしまいやすいです。夫婦間では当たり前になっていることは、社会からみて常識なこととは限りません(自分は大丈夫と思うかもしれませんね。問題は、そういったことは自ら気が付きにくいことなのです)。

したがって、離婚を相手の考え方などに囚われてしまって、見失っている自分を取り戻すことが大切です。これは、なぜ自分が離婚したいと思っているかを再確認し、ぶれないようにするだけでなく、離婚後の人生を豊かにするためにも大切なことです。

私の場合、離婚するまでに3年以上かかりました。実のところ、睡眠不足やうつ病にもなりました。それでも貫徹できたのも、最初に気持ちを固めておくことができたから、相手との対峙の仕方をきちんと身につけていたからだと思います。

気持ちを固めるうえで大変参考になったのが『毒になる親』という本でした。これは親子関係を扱ったものですが、夫婦関係も親子関係と同様に強固なものなので、とても参考になると思います。以下では、この本の要点について私なりの解釈をしてまとめた「離婚の気持ちを固め、相手と対峙する手順」を説明します。
(なお、民法には離婚できる5つの条件というものが定められているのですが、本記事は性格の不一致などにより「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の手順を想定して書いています。ただ、他の離婚条件の場合でも、第四ステップなどは参考になると思います。)

第一ステップ:夫婦間のコミュニケーションややりとりにおいて、自分の気持ちがネガティブになっている場面に気付いて、書き出してください。例えば、

・私は、相手に・・・と言われると罪悪感を感じる。
・私は、相手に・・・されると怖い。
・私は、相手が・・・としたら腹が立つ。
・私は、相手に・・・されると悲しい。

といった内容です。とはいえ、長年の夫婦生活で自分を押し殺すことに慣れてしまった人は、自分のネガティブな感情に気がつきにくいです。例えば、次のような方はその傾向が強いので注意してください。

・私は、相手が言うことを拒否すると罪悪感を感じる。
・私は、相手が聞きたくないと思われることを相手に言うのは怖い。
・私は、自分が原因で相手の人生がダメになったと言われたら悲しい。

第二ステップ:そのようなネガティブな感情の背後には、何らかの信条があるので、その信条を見つけてください。先ほどのネガティブになっている場面の文章の後に「なぜなら・・・だからだ。」という文章を考えると、この「・・・」があなたの信条になります。例えば、

・夫(あるいは妻)が・・・すべきである。
・自分のやることは、結婚相手にすら口出しされることではない。

といった内容が入ります(つまり、「私は、相手が自分をコントロールしようとしたら腹が立つ。なぜなら、自分のやることは、結婚相手にすら口出しされることではないからだ。」という文章になる)。

第三ステップ:これらをもとに自分の考えをはっきりさせておきます。特に、次のことを相手に明確に伝えられるようにします。

・自分の信じていること
・自分にとって重要なこと
・離婚をする意志が強いこと
・話し合う余地のないこと

第四ステップ:前のステップではっきりさせた考えを相手に伝えたときの対応の仕方を用意しておきます。受け流し方は大切です。相手の言動に「対応」するのではなく「反応」してしまうと、すでに相手のペースにはまってしまっているので注意してください。また、考えが異なるから離婚するのですから、考えは平行線のままでよいです。つまり、自分の考えを守ることや相手の考えを責めたり否定したりすることはしなくてよいのです。見本として、次のような対応の仕方があります。

・ああそうなの。
・それはおもしろい考え方だね。
・どういう意見をもとうとあなたの自由ですよ。
・あなたが賛成してくれないのは残念ですが・・・。
・がっかりさせて申し訳ないけど・・・
・あなたが傷ついたのは気の毒だけど・・・

また、離婚について相手からの次のような反論も予想されます。

・親は離婚してはいけない。
・親は自分の幸せを追求してはいけない。子供の幸せを優先させるべき。

離婚の話し合いで、相手からこういったことを言われても、ぶれないように、自分と相手の信条の違いを整理しておくことが望ましいです。

以上で、気持ちの面での準備は整ったことになります。まだ消化できていない方は、紹介した文献を読んでいただくのがよいと思います。

それでは、次は、相手に対峙して離婚の話を持ち掛けるのでしょうか。いえいえ、違います。気持ちの整理はできましたが、離婚調停や離婚裁判になったときのための準備と離婚後に生活が確保できるかの確認の作業があります。まだまだ話を持ち掛けてはいけません(DVなどで緊急を要するときは別だと思います。ただし、私にはDV離婚の経験・ノウハウはありませんので、他の情報をあたってくださいに)。次の記事では、離婚協議前に準備しておくことの第二弾を説明します。

参考文献
スーザン・フォワード『毒になる親 一生苦しむ子供』

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