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文系女医の書いて、思うこと【スタンダード】

noteでわたしが書く記事が大体ぜんぶ読める基本のマガジンです。継続的に執筆を応援してくださる方、わたしの書いた記事を大体ぜんぶ読みたい!という方にお勧め。引用の際には出典のご記…
医学に関するデータやその解釈をいつも最新にアップデートしておくことを通じて命や健康を守りたい、とい…
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#マスク

コロナか熱中症か――マスク着用のジレンマ

22日、北海道の伊達市で、熱中症疑いで小2女子(8歳)が死亡したという痛ましいニュースがありました。伊達市ではその日、観測史上最高となる33.5度の最高気温を観測していました。 本当に熱中症が原因だったのか、ほかの原因があったのかははっきりしていませんが、厚労省のデータによれば、熱中症で実際に命を落とす小学生の数は年間0-2名なので珍しいケースです。 また、報道によれば、「教諭が声をかけ、こまめに水分補給を行っていたほか、自分の番以外のときは日陰で休憩していた」とのことで

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疫病、海、教会ーバスクの村から

スペインの北部バスク地方に来ています。スペイン南部では連日40度を超える熱波とのニュースが続いていますが、北部は日中も30度を超えることは少なく、夜は長袖1枚が必要なくらいの涼しさです。 旅の途中で美しい教会を見つけました。 ムンダカ村の岬に立つサンタ・カタリナ教会(Herimita de Santa Catalina de Mundaka)です。教会の裏側の岬に立つと270度くらいが見渡せます。古くからここは見晴台でした。また、

ヘルパンギーナの異例の流行は「マスク緩和」のせいなのか

日本では、ヘルパンギーナが大流行しています。国立感染症研究所によると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は、7月2日までの1週間で合わせて2万360人で、1医療機関当たり6.48人。これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っているそうです。 同じく国立感染症研究所によれば、日本ではヘルパンギーナは、毎年5 月頃から増加し始め、7月頃にかけてピーク を形成。8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなります。また

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「マスク着用の意義」を示す医学的証拠はどのくらい集まっているのか?

3月13日から着用は個人の判断に任されることになったマスク。 外すにしろ外さないにしろさまざまな事情があることはさておき、医学的に見たマスク着用の効果は現在、どのように評価されているのでしょうか。 日本の専門家の間では、マスクの着用、中でも全員でマスクをすること(ユニバーサルマスキング)に流行を抑える大きな意義があるとの主張がパンデミック開始当初から3年の経過した現在に至るまで圧倒的でした。 1本の論文だけで全員マスクの意義を強調 しかし、わたしの知る限り、日本の専

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「さらば、マスクよ」全員着用解除の初日は岸田さんに100点?

3月13日から、マスクの着用・不着用が個人の判断に任されるようになった。 しかし、日本ではマスクの着用はもともと義務でも何でもない。つまり、着用・不着用は、以前から個人の判断に任された問題だった。それでも、日本では、「個人の判断」で誰もがどこでもマスクをしていた。 外せるようになっても外したくても外せないそんな中、今朝はNHKが基礎疾患のある人が「重症化しやすい人も出かけられるよう、考えてマスクを外してほしい」と訴える映像を放送していた。 重症化しやすい人の不安はもちろ

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必要のないマスクを解除していくためにお願いしたいこと

ドイツでは昨日(2月2日)から全州で、バスや電車内でのマスク義務がなくなりました。もちろん、着用を続けたい人は続けてもOKです。 マスク着用義務が残っているのは、医療機関の中だけとなりましたが、4月7日にはその義務も有効期限を迎えます。ドイツの病院協会からは、必要とされる場面以外での院内でのマスク着用義務はそれよりも早く解除するよう求める声も上がっており、延長となる可能性は低い状態です。 命と同じくらい人間らしい生活を重視マスクの着用が無くなる代わりに病院では、スタッフや

取り扱い注意?話題のアメリカ発「学校でのマスク着用」論文

日経メディカルによると、11月末、ツイッターでは、NEJMという有名医学雑誌に掲載された、アメリカのマサチューセッツ州に学校におけるマスク着用効果に関する論文が話題になった。 話題のアメリカ発「学校マスク」論文の概要日経メディカルの記事をもとに論文の概要をまとめると(日本語がちょっと変なので直した)以下のとおりになる。ぜんぶ読むのが面倒な人は、太字だけ読んで欲しい。 驚くのはそこじゃない!?マスクは労多くして…要するに、この調査で分かったのは、「皆がマスクをしていた学校の

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日本人は気づいてない、日本人のマスク姿が「特別」な理由

2022年のワールドカップは、新型コロナパンデミック開始以降、本格的に観客を入れる初めての国際的スポーツイベントとなった。 収容人数6万人というスタジアムの観客の9割方がノーマスクの中、テレビでは、浴衣にマスク姿でスタジアム観戦する日本人サポーターや、東京の街角をマスク姿で叫びながら勝利を喜ぶ日本人の様子が報道された。 もっともスタジアム感染する日本人サポーターも、2戦目となるスペイン製以降はほとんどマスクを外していた。しかし、日本では屋外でスクリーン観戦する人たちの間で

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パンデミックの「やめ方」

パンデミックの終わりを祝福するかのように、今年は大好きなホワイトアスパラとイチゴがわたし史上最高に美味しいです。写真の分量の太いアスパラが2キロで8€。価格の上でもわたしがドイツに来てからの最安値です。 パンデミックにウクライナと大きな事件が続く中、たとえば、今まで5€だったサンドイッチが7€、2.5€だったバターが3€といった具合にすべての物の値段が2~4割くらいは上がっていますが、これは嬉しいことです。 ホワイトアスパラは日本で言うとタケノコのような、春から初夏にかけ

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日本のマスク問題―いま外そうとしないでいつ外せるのか

楽しみにしていた日本への一時帰国はあっという間に終わり、東京から飛行機に乗ってフィンランド・ヘルシンキの空港について驚いたのは、ほとんどの人がマスクをしていないことだった。 マスクを外して半年のフィンランドフィンランドでは2021年10月からマスクの着用義務を解除した。その後、感染者は増減を続け、地域によっては医療がひっ迫する時期もあったが、4月、医療施設や公共交通機関、ワクチンを規定回数接種していない人が大人数の集会に参加する場合などに限ってマスクの着用が推奨されているだ

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いま布マスクを着けている人たちへ勧めること

財布、携帯、鍵に…マスク。わたしたちの外出時のチェックリストには、いま「マスク」が存在する。 世界が新型コロナ予防策としてのマスクに目を向けたのは意外と遅く、WHO(世界保健機関)による「パンデミック宣言」から2か月の過ぎた2020年3月27日のことだ。米科学誌「サイエンス」が1月から申し込んでいたという取材に、中国CDCの所長でウイルス学者のジョージ・ガオ(高福)氏が回答し、「アメリカとヨーロッパにおける最大の失敗は、マスクを着用していないことだ」と発言したことがきかっけ

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外でマスクしている人ゼロでも再流行していないドイツ

「ドイツで実効再生産数が1を超えた。再流行が始まっている」 10日ほど前、そう言って大騒ぎして以降、ドイツの話題は日本のメディアから消えた。 実効再生産数とは、ある病原体が1人の感染者から平均何人にうつるかを示す数値で、流行状況の目安だ。実効再生産数1なら、平均で患者1人が別の接触した1人に感染させることを意味し、1以下なら流行は収束に向かっていることを意味する。 ドイツをはじめ多くの欧米諸国は、人口当たりの感染者数ではなくこの実効生産数に注目し、ロックダウン(都市封鎖

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4月7日のWHOブリーフィング「米CDC『50%は無症状から感染』発言について」

4月7日のブリーフィングのメモを共有します。日本メディアはいつも冒頭のテドロス事務局長のスピーチの部分しか報じませんが、重要な情報はむしろ質疑の部分にいつもあります。今日はレディ・ガガが、中継でメッセージを配信。世界中のアーティストに呼びかけて新型コロナ対策へのファンドレイジングのためのコンサートが開催されることが発表されました。今日のポイントは、注目の集まる無症状の感染者の感染力と一般市民のマスクしようについて。具体的な数字があがり、WHOとしての見解が示されました。コミュ

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