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文系女医の書いて、思うこと【スタンダード】

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2023年7月の記事一覧

「異例」でもない?RSウイルスの夏流行

国立感染症研究所の報告によれば、今年はヘルパンギーナやRSウイルス(RSV)などが子どもたちの間で異例の流行を見せています。これを新型コロナウイルスが感染症法上の5類に引き下げられたのに伴い、マスクを外す人が増えたせいだとする声もありますが、7月12日の記事では、必ずしもそれが理由とは言えないという話を書きました。 実際のところ、突発性発疹など例年より減っている子どもの感染症もあります。また、RSウイルスが夏にも流行するようになったのは、新型コロナパンデミック以前からの話で

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疫病、海、教会ーバスクの村から

スペインの北部バスク地方に来ています。スペイン南部では連日40度を超える熱波とのニュースが続いていますが、北部は日中も30度を超えることは少なく、夜は長袖1枚が必要なくらいの涼しさです。 旅の途中で美しい教会を見つけました。 ムンダカ村の岬に立つサンタ・カタリナ教会(Herimita de Santa Catalina de Mundaka)です。教会の裏側の岬に立つと270度くらいが見渡せます。古くからここは見晴台でした。また、

ヘルパンギーナの異例の流行は「マスク緩和」のせいなのか

日本では、ヘルパンギーナが大流行しています。国立感染症研究所によると、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたヘルパンギーナの患者の数は、7月2日までの1週間で合わせて2万360人で、1医療機関当たり6.48人。これは過去10年で最も多かった前の週をさらに上回っているそうです。 同じく国立感染症研究所によれば、日本ではヘルパンギーナは、毎年5 月頃から増加し始め、7月頃にかけてピーク を形成。8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなります。また

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片目だけのサングラス―独でワクチン副反応訴訟開始、300人が製造4社を訴え

7月3日、フランス国境に近いドイツ南西部の田舎町、ロットバイルでドイツで初となるビオンテック製新型コロナワクチンの副反応だという被害に対する損害賠償を求める裁判が行われました。 ドイツで初めてビオンテック製ワクチンに対する訴訟が提起されたのは、これが初めてではありません。第1号は今年6月、ハンブルク在住の女性医師(私じゃないです)による、12万5000ユーロの賠償をもとめるものでした。 ところが、この裁判の期日は直前になって急遽キャンセルされ、その後、新しい日程も発表され

体は心につれ、心は社会につれー『眠りつづける少女たち』書評

機能性神経障害を専門とする神経内科医、スザンヌ・オサリバンの最新作。機能性神経障害とは、心身症、ヒステリー、身体表現性障害などの名称で呼ばれてきた「情動が引き起こす身体の病気」の正式名称だ。誤解や差別につながるとして何度も呼び名を変えてきたことからも、この病気の扱いがとてもセンシティブなことが分かるだろう。 機能性神経障害の症状は、本書に登場する過眠、けいれん、失神、めまい、幻聴、頻脈のほか、オサリバンのデビュー作『It's All in Your Head(ぜんぶ気のせい

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