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水墨画への誘い

黒、白、そしてどこまでも移り変わる灰色。
ひとつの炭から生み出されたとは思えない変化だった。

水墨画、教科書で眺めた雪舟以来だろうか。
書道と美術が大の苦手な私が、なぜか心惹かれて目が離せなくなってしまった。
新国立美術館はガラスの爽やかな外壁に囲まれて、緑とビルの中に佇んでいた。もともと計画していた行き先でなかったものの、初めての訪問ということで期待を膨らませる。予想通り、光の入り方がとても美しい場所だった。

水墨画の展示は2階にあった。興味本位で覗いてみたものの、最初の絵から圧倒された。
今にもその瞬間を終えてしまいそうなくらい懸命に咲き誇る牡丹。
灰色に埋め尽くされた世界で、一際存在感を放つ鮮やかなピンク。目立つのは十分わかってるけれど、それでも『私はここにいるよ』と伝えたがっているように見えた。

もうひとつご紹介したい。
厳しい冬のなかで美しい声をあげる2羽の鶴。
目の前で飛び立ちそうなその様子は、釧路湿原で出会ったタンチョウを思い出した。奥には深い森が迫っている。なぜ上を向いているのだろうか。どこに飛んでゆきたいのだろうか。ずっとみていたら、どこまでも想像が膨らんでいきそうだ。

双鶴

好きな絵を見つけて、アートに対して新たな発見ができた。
作品を見るとき、自分がその作品の一部になったと考えて、眺めてみる。これが私なりの鑑賞方法かもしれない。
けれど、世界観を勝手に解釈してしまうことは良いのだろうか。アーティストの思考を読み取るのはどうすれば良いのだろうか。
なにか考えがある方は、共有していただけると嬉しい。


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