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【要点まとめ】『世界に通用する子どもの育て方』

現役保育士・日本語教師オススメ本
『世界に通用する子どもの育て方』

そもそも「世界に通用する子ども」って?

世界に通用する子ども」の定義
①世界中どこにいても幸せで
②自分の強みを生かして人を幸せにする子

日本でなく、どこに国に住むことになっても、子ども自身が幸せでいてくれて、さらに周りも幸せにできる人に育ってくれたら、親にとってもこの上ない幸せですね。

そのような人に育てるには、どうしたら良いのか。
本の中にあるポイントをまとめてみました。

「ご褒美」や「罰」が子どもをダメにする

子どもが何か達成できないと「罰」を与える、これが子どもにとって良くないのは、現代だと周知の事実ですね。

それだけでなく、「交換条件付きの報酬」(「○○ができたら、○○をあげるよ」など)も、子どもをダメにするのだそうです。
著者は、以下の理由を述べていました。

  • 目の前の「ご褒美」ばかり見てしまい、思考が狭まる

  • 取り組んでいること自体への興味を奪い、内発的モチベーションが低下する

  • 目的がすり替わってしまい、ご褒美を得るために不道徳なことをする場合も

  • 動物脳は活性化するが、人間脳が刺激されず、自制心や自主性が育たない

外発的モチベーションの本当の問題3つ

  1. 行動を引き起こすのは誰か
    「罰」や「ご褒美」で外からコントロールするのでは、結局行動の原因が子ども本人でなくなる。
    幸せになるには「自己決定」が大切で、誰かにコントロールされている限り、幸せにはつながらない。

  2. 報酬や罰によって「やらされる競争」にはストレス反応を起こす
    報酬や罰はベース競争があり、そのストレス反応から、サバイバルモードになる。そうなると動物脳が活性化し、必要なエネルギーをサバイバルに向けるため、人間脳が無力化してしまう。
    しつけでも、報酬や罰を使うと効果は出るが、よく考える必要がある。

  3. 成功につながらない
    報酬や罰によるしつけは、産業革命後の時代ならお金は稼げたかもしれない。報酬や罰で動き、ルールを守って、指示命令どおりに動く人が社会に必要だったため。
    しかし現代では、指示命令でやる単調な作業は、AIに取って代わられる。人間脳が育たずに言われた通りにしかやれない人間は、仕事をつくり出せず、人を思いやる気持ちも持てない。すると、幸せになれないばかりか、成功もできない、社会の役にも立てない。

気になるポイント

子どもが「本当は取り組みたくないこと」に対して、「罰」を与えるのは論外です。そして、過剰な「ご褒美」を交換条件にしてしまうと、上記のようなネガティブな面も出てくるのかもしれません。

ただ、個人的には、以前まとめたnote『「学力」の経済学』の中では、「ご褒美」をあげることは悪ではない、との著述もあったので、この辺りは、程度や頻度によるのかとも感じます。
【要点まとめ】『「学力」の経済学』|りこ|note


親子の関係をよくするには?

「人との関わり」3つの基本的欲求

人が生まれつき持っている3つの基本的欲求が満たされれば、人は自己決定し、精神的に健康になり、幸せになれる」とされています。

その3つの基本的欲求とは

  1. 関係性…………人とよい関係をもつ

  2. 自己効力感…「やればできる」と思える

  3. 自律性…………自分で選び、決定できる

この3つは、子どもは誰でも「生まれつき」持っている欲求なので、親はそれを満たす必要はあるが、教えたり植えつけたりする必要はありません。
しかし、食事や睡眠などの生理的欲求と同じで、この3つの基本的欲求が満たされないと、いろいろな問題が起こってしまいます。

この関係性の欲求が満たされるには、
無条件に愛されていると感じられる
自分で自分を愛せるようになる
という2つの条件が必要となります。

無条件の愛を伝える6つの方法

  1. 傾聴と非言語コミュニケーション
    子どもの話には、一生懸命に耳を傾けること。
    子どものほうに傾くくらいに体を向けて目を見て、笑顔・相槌を忘れない。子どもの喋りを遮らずに聞く。
    とくに思春期は、不機嫌センサーが敏感なので要注意。

  2. 肯定的なことば
    まずは共感しながら、肯定的に話を聞く。
    親が間違ったら素直に謝り、親には受け入れにくい子どものネガティブな気持ちを、そのまま認めて共感できれば、無条件の愛が伝わる。

  3. クオリティタイム
    一緒に過ごす良質な「共同活動の時間」。
    トランプ、ボードゲーム、お料理、ハイキング、スポーツ、勉強など。
    親にも子にもそれなりの努力を要するが、効果てきめん。
    テレビを一緒に見る、などの受け身的な活動は含まれない。
    それから「 ◯◯ちゃんの日」と決めて、子どものやりたいことを一緒にやるのも良い。とくに下の子が生まれたときに、上の子とこの時間を過ごすと、赤ちゃん返りが減る。

  4. スキンシップ
    たとえ短い時間でも、肌が触れ合うと安心する。
    「行ってきます」「おやすみ」のハグを習慣化するのも◎

  5. サービス
    生理的ニーズを満たす行動。
    食事をつくる、保育園や学校の送迎、家の掃除など。

  6. ギフト(お祝い)
    誕生日会やクリスマス、お正月など、お祝いの儀式は大切。
    人は一緒に喜び、喜んでくれる人たちとの間で絆を強めることができる。

親の関わり方には、
親が何かをすること」と「親が子どもに寄り添って見守ること
の 2種類があります。
サービスやギフトは前者で、傾聴やスキンシップ、クオリティタイムなどは後者です。
特に子どもは、後者に愛を感じることが多いので、子どもに対して使っている愛の表現を見直してみるといいかもしれません。

「悪いニュース」より「嬉しいニュース」に共感してあげて

どんなときにつながりが強まるかを研究し、『「相手の悪いニュースへの反応よりも、よいニュースへのあなたの反応」が、相手との関係性の発展と継続の鍵となること』が発見されたそうです。

子どもが悲しそうに話し出したとき、親は「どうしたの!?何があったの?」と真剣に聞こうとしますよね。
逆に「ねえねえ、今日こんなことがあって♪」と、嬉しそうに話しに来た子どもの話、適当に聞いていませんか?
この時の反応で、子どもの親への信頼度が下がってしまうこともあります。

学校での嫌なこと、たとえばいじめに遭っているのなら、すぐに相談してほしいと、親は思いますよね。その相談をしてほしいと思うなら、普段から子どもの話す良いニュース・嬉しいニュースにも、一緒に喜び、関心を持って反応してあげましょう。

※↑↑これ、パートナーとの関係でも同じだなと感じます。
 普段からお互いの「嬉しいニュース」を一緒に喜べる関係性を築きたいですね。

あなたの愛情は無条件?それとも条件つき?

条件付きの愛情が伝わると、条件付きの自尊心が育ちます。
「テストの点が良いぼくが、愛されているんだ」というように。

反対に、無条件の愛情が伝われば、条件付きでない自尊心が育ちやすいのです。
「テストの点が良くても悪くても、ぼくは愛されているんだ」と。

子どもの自尊心を高めようとするより、良好な親子関係を築くことが大切。
親子関係で信頼度が高いと、子どもは幸せになり、成功し、よい自尊心も自然に高まります。

「あなたはできる」と信じていて、だけど、できないときでも批判しないのが、無条件の愛です。
子育てには「子どもを信じる気持ち」「無条件に愛する気持ち」の両方が必要。

子どもを否定せずに伝えるには

  • 悪いことを人格のせいにしない
    ✕「こんなことをするなんて、あなたはなんて悪い子なの」
    ○「あなたのことは、とても大切で愛しているけど、あなたのしていることは好きではない」
    注意するのは「行動」。人格を否定しない。

  • 「あなた」でなく「わたし」主語で
    ✕「あなたが何でそんなことをしたのか、理解できない」
    ○「わたしは、とても心配したし、悲しい気持ちになったよ」
    「あなた」を主語にすると、相手は責められていると感じやすいので、主語は「わたし」で、責めたい気持ちの裏側にある本当の気持ちを伝える

  • 暴力的なことばは使わない


「やればできる」と思えるように育てるには?

マインドセットが大切

正しいマインドセットを育てると、自己効力感がを高めます。
自己効力感=「ぼくは、やればできる」という気持ちです。

✕ こちこちマインドセット「生まれつき〜」
○ しなやかマインドセット「努力して〜」

「ぼくはどうせできないんだ」と思っていると、さらに努力しなくなり、自信ややる気を失っていきます。
ところが、「能力は伸びるものだし、今できなくても次ができる!」と思っている子にとって、「努力」は熟練へのプロセスだと思えます。また、その努力や失敗さえ、前向きにとらえ、楽しみにながら取り組むことができるのです。

しなやかマインドセットを育てるには

  1. 能力は伸びることを伝える

  2. 能力や結果でなく、行動やプロセスをほめる

  3. 親が失敗を悪いものとして伝えない

特に、「2. 結果でなくプロセスについてほめる」については、モンテッソーリ教育、幼児教育関連の本にも、よく書いてあります。
その「プロセスをほめる」上で、ポイントがあります。

プロセスフォーカスのポイント

  • 個人の能力、性格、結果ではなく、努力、頑張り、集中したことに注目

  • 今すぐ正しくではなく、忍耐力、かけた時間、挑戦した勇気に注目

  • 他人との比較ではなく、以前と比べてその子が成長したことに注目

  • 好きなところ、感謝を伝え、共感することが大切

  • 質問が大切(それをやった時の気持ち、うまくいった要因)


子どもの強みを伸ばすには?

一見、子どもを信頼し、子どもの気持ちを理解し、温かく優しいつもりでいても、実際には弱みにフォーカスしているかもしれません。
強みにフォーカスし、サポートすると、より効果的。

強みを見つける5つの方法

  1. 子どもがワクワクするほど好きなこと
    熱意と似ていて、これが一番のヒントとなる。

  2. 子どもが得意なこと
    すぐにできるようになるもの、上手にできるもの。
    ただし、得意でほめられて伸びるけれど子どもが好きでないものは✕

  3. 人からのフィードバック
    学校の先生や友達の親から聞く子どもの意外な側面など。

  4. 弱みの裏には強みがある
    いつも感じている弱みを別の角度から見ると、強みになることも。
    優柔不断→ しっかり熟考できる
    にぎやかで落ち着きがない→ リーダーシップや行動力がある など

  5. 「性格の強みの調査票」を活用する
    ポジティブ心理学者らが開発したもので、質問に答えていくと、その人の性格の強みがわかります。
    ログイン | VIA研究所 (viacharacter.org)

子どもの強みを伸ばす親の関わりとは

子どもの強みを見つけ、それをさらに伸ばしていけるような関わりが必要です。

  1. 子どもに強みがあると信じ、見つける
    子どもをよく観察して、言動の中から強みを見つける。

  2. 子どもに強みを分かりやすく教える
    気づいたら伝えることが大切。
    「あなたの強みは◯◯ね」とストレートに言ったり、「以前より◯◯ができるようになったね」と成長を認めたり、「◯◯してくれてありがとう」と感謝を伝える。

  3. その強みを使うように励ます
    強みを知っているだけでも幸せになりますが、使うと効果は飛躍。
    ニュージーランドの研究では、知らない人を1とすると、知っている人は 9.5倍、使っている人は 19倍も幸せになるのだとか。
    その強みを使うようにすすめたり、弱点や課題に「あなたの◯◯の強みを使うとしたらどうなるかしら?」と問いかけるのも良い。

  4. 使う機会を与える
    強みを使う機会を一緒に考えたり、親が用意することで、強みが伸びる。


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