【要点まとめ】『「学力」の経済学』
現役保育士・日本語教師オススメ本
『「学力」の経済学』
いろいろなところで紹介されている本なので、もうご存知の方も多いかと思います。わたしも教育現場にいる1人として「おもしろい!」と思う点がたくさんあったので、ご紹介します。
わたしたちが「何となく」感じていた教育の「常識」???
わたしはいる教育現場でも、やはり何となく
・モノで釣って勉強をさせるのは良くない
・テレビ視聴やゲームは避けるべき
などの共通認識がありました。
でも!「実はそうじゃないの?」という、新鮮な驚きがありました。
お勉強して、ご褒美をあげることは悪なのか!?
遠い未来より、近い未来のご褒美は効果的!
筆者の中室さんは、「頑張ることにご褒美をあげるのは悪いことではない」と書かれています。
子どもたちになぜ勉強しなければいけないのかを伝える時、
「大きくなって、自分のしたい仕事に就けるようになるためだよ」
と言っても、10年、20年後の遠い未来のご褒美に向かって、毎日コツコツ頑張るのは、難しいです。
確かに大人でもそうですよね。わたしも、20年後にお金持ちになれるから、毎日コツコツ頑張れ!と言われても、モチベーションを保てる気がしません・・・。
遠い先のことより、目の前のことに目を向けるのは子どもだけではなく、わたしたち大人も同じです。
なので、近い未来にご褒美を設定してあげることは、悪いことではない!とのこと。
アウトプットよりインプットにご褒美を!
本の中で書かれているある実験。
アウトプット「テストの結果が良かったら、ご褒美をあげる」グループ
インプット「本を読んだら、宿題をしたらご褒美をあげる」グループ
果たしてどちらのグループの方が成績が良かったのか。
アウトプット(テストの結果が良かったらご褒美をあげる)より、インプット(本を読んだら、宿題をしたらご褒美をあげる)方が学力テストの点が良くなった、という結果が出たのだとか。
「褒める」場面もおなじ!
「ご褒美をあげる」のは、アウトプットよりインプットに。
「褒める」ことも同じです。
「テストの点が良かったね!すごいね!」
ではなく、
「毎日がんばって宿題をしていたもんね!」
と努力していた場面を褒めてあげる方が効果的◎
これは最近の教育現場でも定着してきていると感じます。
ご褒美は何がいい?
子どもが小さいうちは、おやつやおもちゃ、大きくなってきたらお金をあげるものアリ◎だとか。
お金をただ与えるだけでなく、一緒に銀行口座を開設したり、使い道を計画したり、同時に金融教育もするといいそうです。
ゲームやテレビ視聴は悪なのか!?
わたし自身、あまり良くないものだと思っていました。
が、本の中では、1日1時間ほどであれば、何も問題がないとのこと◎
もちろんやり過ぎると、生活面や学習面において悪い影響がある、との研究もあるようですが、適切な時間であれば大丈夫なようです。
「テレビやゲーム」、バイリンガル教育に、とても効果的!
これはわたしの個人的な経験ですが、今ドイツに住んでいて、ミックスの子どもたちを見ていて感じること。
「テレビやゲーム」をバイリンガル教育に利用しない手はない!
やはり、単純におもしろい
↓
少し苦手な言語でも、面白いから嫌がらず見る
↓
語彙や言い回しが自然にインプットされる
時間や内容を選べば、ゲームやテレビ視聴も、教育の一つの手段として有効です◎
日本でお子さんに英語教育をさせる場合も、効果的だと思います。
教育の費用対効果
どの時期にお金をかけるのがいいの?
教育現場にいる人間は、あまり経済学ベースで教育を考えることがないので、「費用対効果」は新鮮な観点でした。
要するに、子どもの成長のどの時期にお金をかけるのが、将来的に効果があるのか(学力・将来的な年収など)という見方です。
中学校よりも高校、高校よりも大学にお金をかけた方が費用対効果が良い、と一般的には思われがちですが、費用対効果が一番大きいのは、
「幼児教育」就学前までの教育
なんとだとか。
保育士をしているわたしとしては、とても嬉しく、読みながら「そうそう、すごく大事な時期なのよ!」と、めっちゃラインを引きました。(笑)
どうして「幼児教育」の費用対効果が高いのか
「幼児教育」が大切だからと言って、学習塾に入れよう!とか有名幼稚園に入れよう!とか、そこが大切な訳ではありません。
この時期が大切なのは、今後の「基礎」がつくられる時期だからです。
この本の中にも、「九九など、基本的な計算ができなければ、微分積分もできませんよね」と書かれていました。
以前【要点まとめ】で書いた佐藤さんも、まさにこの考えだったのでは、と思います。「幼児期の基礎固め」が大切だということ。
【要点まとめ】「3歳までに絶対やるべき幼児教育ー頭のいい子に育てる」|りこ|note
「認知能力」だけでなく、大切なのは「非認知能力」
幼児期に育てるべきは、「学習」の面においてだけでなく、「今後の人生を生きていく力」の基礎です。
その「生きていく力」こそが「非認知能力」です。
テストの点では測れない能力のことです。
「最後までやり抜く力」「周りの人とうまくコミュニケーションできる力」などは、まさにこの「非認知能力」です。
どれだけお勉強ができて、成績が良くても、この「生きていく力」がなければ、思春期を経て、青年期になっても、生きづらくなってしまいます。
この「生きていく力=非認知能力」を身に付ける時期が、まさに幼児期だということ。
現役保育士が考える「生きていく力=非認知能力」の高め方
子どもが興味のある習い事をさせる
好きなことに没頭する時間をつくる(その時に親は邪魔をしない)
さまざまな「本物」に触れさせる(音楽・芸術・自然など)
多様な環境、人に触れる機会をもつ(言語・国・世代など)
などなど、日常生活の中で少し気を配り、環境を変えるだけで、子どもたちの非認知能力が伸びる機会が増えます。
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目次を見て、気になる項目だけ読んでも、参考になると思います。
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