花楽里@飯田橋 石田和美さん(平3法)
人通りの少ない小道に溶け込むお花屋さん「花楽里(karakuri)」。その小さな店内は鮮やかで思わず見とれてしまうようなお花で満たされていました。ここは立教大学法学部法学科を卒業し、現在も校友会の企画委員の副委員長や女子バスケットボール部のOG会幹事長を務めている石田和美さんが経営するお花屋さんです。花楽里は飯田橋駅から徒歩数分の場所にあり、ご主人とともに開業されて今年で21周年を迎えられました。今回は、石田さんのこれまでの道のりから、仕入れやフラワーアレンジメントの面白さまで、様々なことをお伺いしました!
これまでの道のり~イギリスのフラワースクールへ留学、花楽里開業まで~
代々立教に通われており、立教愛がとても強い家族の中で育った石田さん。自身の大学受験のときには自然と立教が第一の選択肢となりました。その中でも法学部を選択したのは社会科や公民の授業が好きだったからだそうです。
卒業後は大手印刷会社に就職しました。良い環境だったものの、一生続けていけるか悩んだ結果、道を変えてみようと3年で退職。当時カルチャースクールで習っていたお花を本格的に学ぶことを決意しました。元々とてもお花が好きだったわけではなく、カルチャースクールで習い始めたのも、息抜きの一つ程度だったとか。石田さん自身が花粉症であることもあり、今花屋をやっていることが驚きだと話します。
そんな石田さんは、退職後お花を学ぶためにイギリスのフラワースクールに留学します。イギリスはアレンジメントのクラシックであり、当時流行していたアレンジメントの発祥地。コンスタンス・スプライフラワースクールという、イギリス最古で、英国王室の花装飾も担われていたフラワースクールなどに通われました。
しかし帰国後は、日本の生花店のシステムが何も分からない状態。そのため、お花屋さんでアルバイトとして働きました。そこでは、店頭での販売からパーティー会場などに行ってお花を飾るお仕事まで、幅広く経験できたそうです。5年たったころ、現在のご主人と出会い、ご主人の希望で一緒にお店を開くことに。そして、お二人はなんと開店の5日後に、寝る暇もないまま立教のチャペルで結婚式を挙げました。
「花楽里」という素敵なお店の名前を決めたのはご主人で、「楽」という漢字の象形文字は太鼓を持って踊っている人を表すのですが、その様子が本当に楽しそうで、お店の名前に入れようと決めたそうです。ユーモアのある名前なだけあり、市場でも何百件と花屋が来ているなか、すぐに覚えてもらえるとおっしゃっていました。
赤い「花楽里」の文字が目印
花楽里のからくり~石田さんのつくるお花屋さん~
お花屋さんにも店ごとに得意分野というものがあるそうで、土地柄もあり、花楽里にはバラなどのプレゼントやお祝いに使われる花がたくさんあります。店内は広くはないものの、鉢花や木もあり、お花は綺麗なものばかりでした。
花楽里のこだわりの一つはお花の仕入れ。「花屋にとって、仕入れは利益や売り上げを大きく左右する一番大切な部分」と石田さんは話します。日本で一番大きい大田市場は数えきれない種類のお花を取り扱っており、その中から石田さんやご主人が吟味して、好きなものや少し珍しいものを仕入れます。また、お花はハウスまたはビニールハウスで育てられるため、じつは多くの品種は一年中手に入りますが、春はパステル系のお花、秋は深い色合いのお花、といったように季節感も大切にしているそうです。石田さん自身が「良い」と思ったお花を適正価格で仕入れているからこそ、自信をもってお客さんにお勧めできるといいます。
店頭に並ぶ花はすべて石田さん夫妻が目で見て仕入れたもの
バラだけでも多くの種類を扱う
石田さんが花屋を営む20年の間だけでも、物流が発展し世界がとても狭くなったことで、アフリカや南米からのお花が品質の良いまま届くようになり、市場で取り扱う花のバリエーションが増えたと話します。また、品種改良もどんどん行われ、さらにお花にも2,3年周期のトレンドがあるそうで、市場で売られている花は常に変わり続けています。このように、新しいお花との出会いが常にあるため、石田さんは20年以上お花屋を営むなかで「お花で飽きたことは一度もないです」と力強く、楽しそうに話します。
ただ「花屋で働く事をおすすめはしない」という本音も。朝の仕入れから閉店まで休みがないため体力がかなり必要であるだけでなく、売り上げが景気に左右されやすいため、東日本大震災直後や、コロナ禍においては先が見えない不安が付きまとったそうです。取材時(2021年11月)は、コロナが落ち着いてきたことでお花の売れ行きは少しずつ回復しているとお話されていました。
人とのつながりをとても大切にされている石田さん。フラワーアレンジメントを作る際はお花を受け取る人について丁寧に話を聞くなど、一人ひとりのお客さんに向き合うことを大切にされています。そういった人柄もあり常連の顔の見えるお客さんが多いそうです。「立教の同級生や知人も、何かお祝い事などがあると注文してくれる」と話します。飯田橋にお店を構えられたのも、池袋に近いことが理由のひとつでした。そんな石田さんにとってお花屋をやっていて一番のやりがいは、お客さんからの「ありがとう」という言葉であったり、うれしそうな顔だったりをたくさん見られることだそうです。
最後に~ぜひ花楽里を訪れてみてください~
今回、石田さんのご厚意により、私たちもフラワーアレンジメントを体験させていただきました。同じお客さんのための花束をつくるにしても、花を選ぶ時点でご主人とは花のチョイスが全く異なり、また同じお花を使ったとしても全く異なるイメージの作品に仕上がるのだそうです。このように、選択肢と表現方法がたくさんある点がお花の面白さだと石田さんは話します。私たち学生ライター・カメラマンも、同じ材料で自由に楽しく作った結果、二人とも全く違うアレンジメントに仕上がりました!このアレンジメントを私の部屋に飾らせていただきましたが、部屋が一気に鮮やかな印象になりました。
花の挿し方や順番など、まずは基本的なことをレクチャーしてもらいます
その後は自分の好きなようにアレンジメントを制作
毎年、立教のホームカミングデーなどを企画する委員のひとりである石田さんは、とても話しやすい方で、お店にあるお花はどれも一つ輝く点があるように思いました。皆さんもぜひ、飯田橋近辺を訪れた時や、お花をプレゼントする際は、花楽里のお花の力で自分や周りの人の気持ちを明るくしてみてはいかがですか?
作ったアレンジメントを持って、取材後の3ショット
中央:石田和美さん
左:学生ライター 平沼果凜さん
右:学生カメラマン 石野遥さん
花楽里
〒102-0071 東京都千代田区富士見2丁目3−27